芸能事務所の「特殊かつ旧態依然」とした体質

2人の「清水」が起こした引退・活動休止の背景

そもそも芸能界は、「新たな職に対する期待と現実とのギャップに悩む」、いわゆる“リアリティショック”が最も大きい業界。華やかさにあこがれて飛び込んだ分、マイナスギャップで悩みが深くなりやすい面があり、一般労働者以上のフォローアップが欠かせないのに、それが十分ではないことが多いのです。

そして、フォローアップが欠かせないのは、富美加さんのようなタレントだけではありません。今回の騒動で富美加さんと同等以上に混乱しているのは、担当マネジャーでしょう。これまで二人三脚でマネジメントしてきたつもりが、まさかの音信不通状態……。各所への謝罪行脚だけでなく、自分を見る社内の厳しい目にさらされ、針のムシロという状態ではないでしょうか。

加えて富美加さんが、「力ある大人の怖い部分を見たら夢ある若者はニコニコしながらすべてにうなずくようになる。そんな中ですり減っていく心を守ってくれようとしたのは事務所じゃなかった」と事務所批判のツイートを続けていることが追い打ちをかけています。

「私はぺふぺふ病にかかっている」

マネジャーは当然ながら“一般人”という立ち位置ですが、大半の人が特殊な業界で生きていくための教育やケアを受けられていません。私は1000人を超えるマネジャーと接してきましたが、個々のスキルにバラつきが大きいうえに「不規則な業務に追われ、冷静さを保つのに必死」という印象の人が目立ちます。そんな姿を見て、「タレントを落ち着いてマネジメントできる精神状態なのか?」「芸能事務所にはマネジャーを育成する環境がないのか?」、疑問を抱いてきました。

誤解のないように書いておきたいのは、「富美加さんの所属事務所が取り立ててひどいのか?」という点は、疑惑の段階にすぎず、むしろ「多くのチャンスを得られる」という面では優良そのもの。一事務所というよりも、多くの芸能事務所にあてはまる問題として注視したいのです。

タレント・マネジャーそれぞれが「仕事内容や社風に合うか?」「2人の組み合わせが最適か?」という基礎的な問題以上に大きいのは、担当マネジャーのコミュニケーション力に依存したマネジメントスタイル。

実際、富美加さんは2015年ごろからブログの内容がネガティブになり、最後に更新した昨年3月には、「最近生きてる気がしませんでしたが なんとかまた、行けそうです」「まじゴミクズでした」「今年もまた色んなやばいことが 私を待っているだろうけど そこで終わりたくないです」「気持ちの切り替えのためにブログを更新しました。すいません、もうちょっと頑張りますね」と危ういフレーズを連発していました。

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