この規定に対し、内閣府が設置する規制改革会議が昨年5月にとりまとめた「規制改革に関する第4次答申」で、インターンシップで取得した学生情報を、学生が希望すれば使用できるようにし、また中小企業に対しては人材確保に活用できる仕組みの方策を講ずるよう求めた。就職・転職が安心してできる仕組みづくりを実現させるために、インターンシップを活用したミスマッチの防止や、人材の確保が難しい中小企業のためにインターンシップの活用を投げかけていた。関係各省に検討を行うよう求められ、今回の会議でも議題のひとつとして挙がっていた。
だが、会議では、「ノー」の方向性が示された。インターンシップからの採用を認めるということになれば、実質的にそこが就活の場となり、就活の早期化や長期化につながる懸念があるからだ。そもそも、「インターンシップの推進策を考えるのが会議のテーマ。就職活動の日程の議論とは切り離して考えている」と、文科省関係者はそう語った。
骨子案を見ると、むしろ、「インターンシップの定義」をより明確化したい意図が見える。具体的には大学での単位化を進めていくために、その要素を定義。事前事後学習の実施に加えて、原則5日間以上のプログラムを「単位型インターンシップ」とすることを明示している。
1dayインターンシップやワークショップが横行
さらにインターンシップの定義を再確認し、在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うことをインターンシップに求め、「就業体験が伴わないプログラムについては、別の名称を用いるように促す」と付記している。解禁前の12月~2月の時期に、会社説明会と変わらない内容の”1dayインターンシップ”や、”ワークショップ”等の名目で行われる選考活動が増加しているが、本来、定義するインターンシップとはかけ離れているため、その名称を使わせないようにすることをもくろむ。
現在、経団連は、「採用選考に関する指針」の中で、夏の時期に行うインターンシップを想定して、解禁前に行うインターンシップの期間を最低5日以上と定義している。しかし、採用解禁時期が3月に変更となり、12月~2月に冬のインターンシップの開催が可能となっているが、「冬の時期に5日以上のインターンシップを組むのは難しい」として、2019年採用以降にその定義の見直しを検討している。ただ、今回の骨子案が何かしらの影響を及ぼす可能性がある。
骨子案ではこのほか、インターンシップの具体的な推進方法などが盛り込まれた。会議ではこの骨子案に対し、さまざまな意見が出されたが、この骨子案をベースにそうした意見を踏まえて、議論の最終の取りまとめ案を年度内に作成する予定となっている。
インターンシップからの採用を解禁すれば、採用日程ばかりか一括採用制度まで崩壊するとの声があったが、そうした議論にいったん終止符が打たれようとしている。
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