「やるしかない」、財政目標はまだ達成可能だ 目標未達なら「アベノミクスは失敗」の結論に

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しかし、財政健全化目標をいとも簡単に取り下げたり、延期したりできないというのも実情だ。安倍首相は、消費税増税の再延期の際、2020年度の財政健全化目標は堅持すると強調した。さらに、安倍首相は、「経済再生なくして財政健全化なし」とも繰り返し述べている。

財政健全化がうまくいかないと認めれば、経済成長を見込んだ税収増が予定通りに得られないと認めたこととなる。そして、経済成長がうまくいかないのはアベノミクスが失敗した証拠と、野党による追及の格好の口実となりかねない。そうした懸念があるので、石原経済再生相は、冒頭の発言のように答えるしかないのだろう。

8.3兆円の赤字は大きいとみるべきか、小さいとみるべきか。確かに、残り3回の予算編成で、容易に目標を達成できるとはいい難い数字だ。かといって、財政健全化目標を取り下げるほどのものではない。

経済再生ケースなら2024年に目標達成

もし財政健全化目標を取り下げるか達成年次を延期すればどうなるだろうか。今年1月の内閣府の「中長期試算」にある国と地方を合わせた基礎的財政収支の対GDP比の推移を見ると、名目経済成長率が3%後半で推移すると見込む経済再生ケースで、2020年度の基礎的財政収支は対GDP比で1.4%(8.3兆円)の赤字である。

試算の前提は、消費税率を2019年10月に引き上げるがそれ以外は現行の税制のままで、既に決まった歳出改革は織り込むがそれ以外は現行制度のまま推移するというものだ。追加の改革を行わないいわば自然体の財政運営でいけば、2020年度にそうなるという予測である。経済再生ケースで行くと、自然体の財政運営のままでも、2024年度にはほぼ基礎的財政収支は黒字化する見通しだ。

要するに、何も追加の改革なしに2024年度に基礎的財政収支は黒字化するのだから、財政健全化目標を取り下げるか達成年次を延期するということは、「追加の改革はしたくない」というのと同じことである(もちろん、名目成長率が3%台後半にならなければそれさえも実現できないのだが)。

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