「やるしかない」
1月25日、経済財政諮問会議後の記者会見で石原伸晃経済再生担当相は、こう答えた。同日の経済財政諮問会議で、内閣府による「中長期の経済財政に関する試算」(以下、「中長期試算」)において、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字が8.3兆円に拡大することが示されたため、記者から「2020年度の黒字化目標の達成が難しいのではないか」との質問が出たことへの回答だった。
「中長期試算」は、年2回改訂される。今回は1月22日国会提出の2017年度政府予算案を踏まえて試算し直した結果が公表された。
昨年7月の同試算では、2020年度の基礎的財政収支は、経済再生ケースで5.5兆円の赤字と報告されていた。その経緯は、本連載の記事「消費増税延期でも『赤字減少』試算のからくり」でも詳述した。
税収の伸び悩みで財政収支見通しが悪化
政府が黒字化を目標として掲げている2020年度の基礎的財政収支は、昨年7月の試算で5.5兆円の赤字だったが、この1月の試算では8.3兆円の赤字に悪化したのだ。
悪化の最大の要因は、税収の伸び悩みである。特に、2016年度の税収が予想を下回る見込みとなり、それが今回の試算に反映されたため、2020年度の税収が昨年7月試算よりも減る予測となった。これが、基礎的財政収支赤字拡大につながった。
2020年度まであと3回しか予算編成が残されていないのに、8.3兆円も赤字が残る見通しならば、それを黒字化するのは困難ではないか、との見方が、冒頭の記者の質問にもつながっている。2020年度の財政健全化目標を取り下げてはどうか――、そんな声さえ出始めているという。今年の通常国会における恒例の施政方針演説で安倍晋三首相は「財政健全化目標」に一切言及しなかったこともあって、そうした憶測が広がった。
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