「同一労働同一賃金」で賃金水準は上がるのか

高齢化による非正規社員の増加が問題

働き方改革実現会議は安倍首相が議長。政府の旗振りで改革は進むのか(写真:共同)

安倍晋三首相を議長とする「働き方改革実現会議」において、昨年12月20日、同一労働同一賃金を実現するための政府のガイドライン案が示された。同じ企業内での基本給や賞与などに対する待遇差について、不合理かどうかなどが例示された。

ガイドラインが非正規社員に対しても業績に応じた賞与を支給するように定めたことは大きな一歩だが、正規社員でも年俸制などでボーナスが支払われていないケースもある。企業側の裁量は依然として大きい。正規社員と非正規社員で格差があるということを合理的に示すことは難しい、といった問題も残った。

政府が同一労働同一賃金の実現を目指す大きな理由は、正規社員と非正規社員との賃金格差が、日本の賃金水準全体を上がりにくくしている要因であるとの指摘が多いからだ。リーマンショック後の落ち込みから脱して以降、正規・非正規の賃金水準はそれぞれある程度上昇している。しかし、両者を合計した全体の賃金水準はほとんど上がっていないという「数字のマジック」がある。

時間当たりの賃金水準の上昇が鈍い理由

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厚生労働省の賃金構造基本統計調査から算出できる「正社員・正職員計」(以下、正規社員)と「正社員・正職員以外計」(以下、非正規社員)の時間当たり賃金はそれぞれ1958円と1258円(2015年調査)である。2005年対比ではそれぞれプラス2.0%とプラス7.8%で、非正規社員の賃金の伸び率が高い。しかし、総務省の労働力調査「非正規の職員・従業員」の割合を用いて両者の総平均を求めると2015年調査では1693円で、2005年対比の増加率はプラス1.4%にとどまる。

個別にはどちらも増えている割に合計ではあまり増えていないのは「正規社員」と「非正規社員」の割合が変化しているからである。

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