"入りすぎ"で苦しむ「保険貧乏」からの脱出法 「養老保険」「終身保険」「変額保険」に要注意

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また、外貨建て保険におけるおカネの増え方は、為替レートの変動でマイナスになるリスクと背中合わせなので、額面どおりに評価しないことも大切でしょう。

契約から5年後に解約を検討している会社員のかたの場合、職場の状況が変わり、給与が下がったことから、保険料の支払いをやめたくなったと言います。珍しいことではありません。転職や離婚で可処分所得が下がる人もいます。

いまどき、ということで言えば、単身者でも高齢になった親の介護などにおカネがかかるようになって「自分の老後どころではない」と、契約の継続を断念する方もいます。老後まで契約を続けられるという前提を疑ってみる必要を感じさせられる事例は少なくないのです。

なぜ解約をしないのか

さらに見逃せないのは、資金繰りが苦しくなっても、解約等の判断を保留する人がいることです。たとえば、先の契約から5年で解約を検討している人の場合、これまで払った保険料に対する解約返戻金は、日本円にして55万円くらいのマイナスです。

そのため「損が受け入れがたくて動けない」と言います。行動経済学の分野には、人は利得より損失に2倍以上反応するという研究結果がありますが、感情のやり場に困り、保険貧乏から脱出できないのです。

では、どうしたらいいのでしょうか。老後資金準備目的で提示されるプランに対する予防策としては、「契約当初のおカネの減り方」に注目することをおすすめします。

たとえば、ある「外貨建て終身保険」の場合、契約後1年で解約すると払い戻し率は0%です。「保険料に対してマイナス100%、これほどおカネが減りやすい仕組みが有利だろうか?」と、慎重になれるのではないでしょうか。

すでに加入中の保険については、「この先、おカネが増えやすいのか」のみ、考えることが大切です。

解約時期の決断等は容易ではないため、金融商品を販売していないファイナンシャルプランナーなどに相談すると良いと思います(契約時の担当者は、早期解約の場合、保険会社にペナルティーを支払うことになるため、相談相手にはふさわしくないはずです)。

最後に、「今まで払ったお金がもったいない」などと思わないことが大切だと強調しておきます。すでに代理店手数料などに消えたお金が、加入者のもとに戻ってくることはないからです。自分でコントロールできるのは、これからのお金の使い方なのです。

後田 亨 オフィスバトン「保険相談室」代表

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うしろだ とおる / Tooru Ushiroda

1959年、長崎県出身。長崎大学経済学部卒。1995年、アパレルメーカーから日本生命へ転職。営業職、複数の保険会社の商品を扱う代理店を経て2012年に独立。現在はオフィスバトン「保険相談室」代表として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)ほか、著書・メディア掲載多数。

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