"入りすぎ"で苦しむ「保険貧乏」からの脱出法 「養老保険」「終身保険」「変額保険」に要注意

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家計を圧迫する要因になっているのは、主に年間数十万円に及ぶ「養老保険」「終身保険」「変額保険」の保険料です。これらの保険には、将来の保険金支払いに備えて保険料の相当額を積み立てていく機能があります。そのため、積立部分に貯まったおカネを老後資金にするプランが利用されているのです。

外貨建ての保険への加入は、積立部分に適用される利率が円建ての保険より高いことが評価されています。変額保険については、保険料を株式などで積極的に運用することから、インフレにも強い保険という認識があるようです。

お客様が保険貧乏に苦しむ原因としては、

1.「老後資金」を意識することで、積立額を高めに設定しがちである
2.老後の保険料の払い戻し率に注目し中途解約リスクを甘く見てしまう
3.資金繰りが苦しくなっても、損失の確定を嫌って解約できない

の3つがあると思います。たとえば、40歳の人が60歳までにおカネを貯める場合、残された時間は20年、月数では240カ月です。毎月1万円の保険料では、保険料の全額が積み立てに回っても原資は240万円です。

元本割れ期間に関して評価が甘くなる傾向

その程度では心もとないということで、少なくとも1000万円くらいを目指すと、毎月4万円強のおカネが必要になります。運用で増やせる部分に期待しても3万円くらいはかかります。一般的な年収の方の場合、「頑張っておカネを貯めよう」と始めた契約であっても、次第に負担感が増してくるようです。

また「老後にどれだけおカネが増えているか」に関心がある人は、契約後から続く元本割れ期間に関して評価が甘くなるようです。

老後資金準備のために提案される保険では、当然ながら60歳や65歳といった年齢から受け取ることができる満期金や解約返戻金が、払込保険料総額を上回ることが強調されています。たとえば、外貨建て養老保険に加入中の40代男性は「20年後には106%、25年後には115%の払い戻し率になる」といった数字に反応し、加入を決めたと言います。

しかし、諸事情で契約が続けられなくなること、円高になっている時に解約する事態、契約期間中に金利が上昇する可能性、なども想像してみなければならないはずです。20年後からおカネが増えることよりも、「約20年、いつ解約してもマイナスになる」ことを重く見なくていいのだろうか、と感じるのです。

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