採用広報解禁が12月だった頃は一定の秩序があり、「リクナビ」、「マイナビ」などの就職ナビが一斉オープンする12月1日に、企業の新卒採用ホームページもオープンしていた。しかし現在はそのような秩序はなくなっている。理由は採用広報解禁日が3月になったことが大きい。採用広報解禁日に就職ナビがオープン、学生がプレエントリーに殺到し、企業の新卒採用ホームページが同時に開設されていたのは、12月1日が広報解禁日だった2015年までのことだ。広報解禁日が3月1日と4カ月間も後ろ倒しになり、それでは「遅すぎる」と企業が判断した結果、オープンを前倒しするところが増えてきたのだ。
そもそも、新卒採用ホームページの早期オープンが、経団連の「採用選考に関する指針」(以下、指針)で禁じられているわけではない。採用広報解禁前に、学生の登録を受け付けるプレエントリーや個人情報を活用した活動は禁止しているが、以下の通り認めている点もある。
「広報活動の開始日より前に行うことができる活動は、ホームページにおける文字や写真、動画などを活用した情報発信、文書や冊子等の文字情報によるPRなど、不特定多数に向けたものにとどめる。なお、広報活動のスケジュールを事前に公表することは差し支えない」
ホームページでの情報発信は認められている
また、採用広報活動前のインターンシップについては、「産学連携による人材育成の観点から、学生の就業体験の機会を提供するものであり、社会貢献活動の一環と位置付けられるものである」と、むしろ積極的だ。インターンシップの応募受付はできる。ただ、指針では、採用選考活動とは一切関係ないことを明確にする必要がある、と明記されている。
もっともこのルールとは無縁の企業も存在する。多くの日本企業は、新卒一括採用のワクの中で活動するので、経団連の指針を意識している。しかし、通年採用を基本とする楽天やファーストリテイリングなどの企業は指針のスケジュールにこだわらず、プレエントリーを始めている。正確にいえば、いつも募集をし、いつもインターンシップを実施している。
採用ホームページについては、現時点で「企業名+2018採用」で検索すると、かなり多くの企業が「2018年新卒採用ホームページ」を公開していることがわかる。文系の人気企業ランキングの常連であるメガバンク、総合商社、生命保険・損害保険と大企業が多い。メーカーはやや少ないものの、トヨタ自動車やホンダ、日立製作所、旭化成などの人気企業はオープンしている。
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