日本株が「3月まで横ばい」かもしれない理由 株価を決めるのはドル円相場だけではない

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ルーズベルトルームで企業トップと会うトランプ大統領。日本株が上昇するかどうかは、米企業の業績が重要(写真:REUTERS/Kevin Lamarque)

1月20日のトランプ米大統領の就任演説はおおむね市場の想定通りでした。一方、週明け23日の東京株式市場では日経平均株価は前週末比で200円を超える下げ幅となり、24日も結局は前日比103円安と続落しました。下げの原因としては「トランプ米大統領の就任演説では保護主義的な発言が多かった」、「インフラ投資や減税に対する踏み込んだ内容がなく、円高要因となった」と見る市場関係者が多いようです。

日本企業の増額修正期待は「肩透かし」の可能性

実は、筆者は個人的には少し違う見方をしています。トランプ大統領が外国首脳との正式な最初の会談で、安倍首相ではなく、イギリスのメイ首相を選んだことで、海外投資家が寄り付きから売りを出してきたのだと推測します。

なにせ、米大統領選挙に勝利した後、最初に外国の首脳と会ったのは安倍首相です。ニューヨークで会談する旨が去年11月10日に報じられ、後場から一段高になったのは海外投資家の買いです。つまり、1月23日の大手新聞朝刊1面で報じられた『まず英国とFTA交渉』の見出しは、政治ネタを売買の材料にする海外投資家にとっては、ネガティブに写ったに違いありません。

さて、1月下旬からいよいよ日本企業の四半期決算(3月期が本決算企業)が始まりました。23日に四半期決算を発表した安川電機は通期業績予想を上方修正しましたが、株式市場の軟化やドル円相場が1ドル=112円台まで円高が進んでいたせいか、同社株価は「下げ」で反応しました。

トランプ相場によって演出された円安と、海外景気の持ち直しによって、業績予想を上方修正する期待感は根強いものがあります。それが日本株の支援材料になることが期待されています。ただ米国本土で商売する輸出企業側としては、相応の対応を迫られる状況のもと、想定為替レートの変更による業績上乗せはあっても、トランプ相場で上昇した大部分を裏づけるほどの大幅な上方修正はない、と思われます。

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