日本株が「3月まで横ばい」かもしれない理由 株価を決めるのはドル円相場だけではない
さて、その米国株式市場は、NASDAQが比較的堅調な一方、ダウ平均は昨年11月安値を起点とする最初の上昇幅を「ほぼ2倍分」足した「目標水準」の1万9985ドル付近で止まり、伸び悩む展開が続いています。強気の見方をすると、高値モミ合いが続いているだけで、一段高に向けてエネルギーを蓄積している局面と判断もできます。もし下げるなら、すでに下げているだろう、といった理屈です。
チャート分析は、高値や安値の目標水準を分析する「縦軸の手法」だけだと思っていたら大間違いで、時間をみる「横軸の分析」ができるのも特徴です。要するに、いつごろ「ある目標水準に達成するのか」を予測することができるのです。
例えば、ダウ平均は、2015年8月~9月の安値から2016年1月~2月にかけての安値までに、95日間の日数の経過が必要でした。実はそれ以降、95日前後の日数で安値を付けるパターンができています。トランプ相場に入る直前の基点である11月4日安値から次も同じ周期で安値を付けると考えると、3月後半(3月21日-23日)に到来する見込みです。このまま3月後半まで調整が続くのか、先に2万ドルを突破したあとの調整入りなのか?そこはわかりません。
カギ握る「米国のグローバル企業」
そのカギを握るのは、米国企業の10-12月期の決算に対する株価の反応です。ダウ平均採用30銘柄で決算発表の先陣を切ったのは、13日に発表したJPモルガンでした。融資や債券トレーディングが好調で利益が市場予想を上回る着地となりましたが、株価はほとんど反応しませんでした。ダウ平均が安値を付けた11月4日を起点にみた場合、同社株はダウ採用30銘柄のなかで最も上昇したゴールドマン・サックスの次に上昇率が高く、トランプ相場を通じて十分に上昇していたことが要因でしょう。ゴールドマン・サックスの場合も同様で、利益確定売りに押されました。
その2社に続いて上昇が顕著だったのは、ユナイテッドヘルス・グループ、アメリカン・エキスプレス、ウォルト・ディズニーなど、売り上げの米国比率が比較的高い企業が多いのに気づきます。一方、軟調だったのは、コカ・コーラ、P&G、ジョンソン・エンド・ジョンソンなど海外展開の比重が高い企業が多く、ドル高が警戒されてトランプ相場に乗り切れませんでした。
今回の決算でモミ合いを続けるダウ平均が上放れるには、これまで株価がさえなかったグローバル企業の決算で市場がポジティブに変わっていくかどうかです。「ドル高の環境下でも業績への影響は大したことはない」と市場が判断すれば、ダウ平均の2万ドル突破の支援材料になります。しかし、業績が市場予想よりも悪ければ2万ドル達成は完全にお預けとなり、米国市場はこのまま3月まで調整でしょう。
日経平均も昨年の12月30日安値(1万8991円)を下回り、バランスを崩しています。約1ヵ月の売買コストである25日移動平均線が下落に転じているため株価は上値を抑えられやすく、3月ぐらいまでの調整は相場の常として必要なのかもしれません。
さて、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のためにハンドブック(初級編①)を作成しました。前回大好評をいただいた基礎編に続く冊子です。無料で配布しておりますので、興味のある方は、NTAAのHPからぜひお申し込みください。なお、基礎編とあわせて2冊申し込むことも可能です。
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