方向感ない日本株、いったん調整局面入りも 先行き不透明なのに、市場は「知らないふり」

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米大統領の就任式が終了。株式市場ではいまのところ先行きの見通しに対して警戒感はほとんどない。果たして本当にそうだろうか(写真:REUTERS/Carlos Barria)

トランプ氏がついに第45代米大統領に就任した。演説の中身が注目されたが、精神的、抽象的ともいえる理想論(政府の役割、米国人の役割の展望)が中心となった。新大統領は「アメリカ第一主義」を強調。税制、貿易などにおいて、米国の利益を最優先する方針を表明した。さらに「全米で新たな道路、空港、トンネルなどを建設する」と改めてインフラを増強する方針を示した。また、「権力を政治家から国民に戻す」としたが、改めてアメリカにおけるポピュリズム(大衆迎合主義)の危険も再燃する格好となった。

円高は進んだが、東京市場の下げは限定的

ホワイトハウスは新大統領誕生と同時に、「北米貿易自由協定(NAFTA)の再交渉」「環太平洋連携協定(TPP)からの撤退」の声明を相次いで発表した。また、「全ての税率区分での引き下げを計画」「今後10年間で2500万人の新規雇用を目指す」「年間4%の成長を目指す」などの政策も発表している。

当面、市場では財務長官に代表される要職の議会承認に加え、政策の具体的な中身に注目が集まりそうだ。すでにトランプ政権に期待されている「税制改革」「インフラ支出」「規制緩和」などの景気浮揚策を施行するかどうかに焦点が移行している。また、先日トランプ大統領の考え方も一部伝わったが、ドル高政策が維持されるかどうかも注目材料となろう。

23日の為替市場では、東京時間の朝8時過ぎから「ドル売り円買い」が進み、ドル円相場は1ドル=114円台を割り込み、日経平均株価も1万9000円台の大台を割り込んだ。トランプ政権が掲げる「保護主義」VS「経済・金融政策に対する規制緩和」といった構図のなか、「保護主義」懸念が勝った格好だ。ただ、東証1部の売買代金は2.2兆円とさほどではなく、昨年のような出来高を伴った急落といった動きは観測されなかった。日経平均が1000円超急落した昨年6月や11月と比べると、下げは限定的である。

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