中国の「不動産バブル」は、なぜ冷めないのか

大都市のマンションが超人気なワケ

すると、離婚の際に男性(男性が住宅を用意することが一般的だったので、男性名で登録されている)は、購入時の数倍の価格で住宅を売却し、その膨大なお金で再婚するが、女性は何ももらえず、ただの「バツイチの女」になってしまっていた。そのため、現在では、結婚するカップルとその家族は、このような将来における離婚時の財産分配リスクを考慮し、住宅という最大の資産を均等に分配できるように、両家族が同額の頭金を出して「不動産所有権書」に夫婦2人の名前を登録させるケースが増えている。もちろん、一般家庭の場合、一家の力(親2人と祖父母4人)だけでは、大都市の高騰したマンションの購入資金を集めることが大変になってきたのも理由の1つではあるのだが。

一番儲かる投資手段となっている住宅は、中国人の所有資産の大部分を占める。そして、今、この船に乗らないと資産を増やせないという恐怖心から、住宅への熱情は下がらないのだ。

住宅の「賃貸」市場は日本企業の商機になり得る

今の中国の住宅市場は、課題が多い。教育や医療のインフラといった社会資源や住宅市場のアンバランスな状況が変わらない限り、根本的な解決もないだろう。だからこそ、日本企業にとってのチャンスはたくさんある。たとえば、賃貸市場がそうだ。中国政府は、2016年5月に〈住宅賃貸市場の加速育成・発展に関する若干意見〉を正式発表しており「住宅賃貸消費を支持し、住宅賃貸市場の健康な発展を促進」しようとしている。

それに、賃貸住宅は、かつての「貧乏くさい」「臨時住宅」「ルームシェア」というイメージから「気軽に好きなところで住めるので良い」「賃貸でもおしゃれに住める」「1人の居場所としてちゃんとした内装がほしい」と見直す人も少しずつ増えているし、それぞれのライフスタイルに合わせた住み替えに対して抵抗感も薄くなっている。彼らは日本式のインテリアや収納器具に魅力を感じているので、日本企業にとっても検討する価値があると思う。実際に中国のある大手不動産会社は、日本の大手デザイン・インテリア会社に賃貸住宅の共同開発を申し出ているという話も耳にした。

「不動産バブル」という言葉にすべてを一括りにして、中国経済がおかしい、いつか崩壊するといったネガティブな感想をもつだけではもったいない。中国人がなぜこれほどまでに住宅にこだわっているのか、そして消費者にはどのようなニーズがあり未来はどうなるのか。日本企業にとっては、調査を進めて巨大市場に参入する努力をしてみる価値は、十分にあるはずだ。

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