ツイッターで女子が飛びつく「美垢」の正体 1万6000フォロワーの女子高生を直撃

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ネットの世界に慣れているとはいえ、まだ女子高生。批判や中傷を受けるのはつらくないのか、尋ねてみました。

「悪いことをしているわけではないし、気にしていない。反対に、気にしないでいいよと声をかけてくれたり、味方になってくれる人がたくさんいる。ティーン雑誌への顔出しも、褒めてくれる人がたくさんいた。ツイートを勝手な自己解釈して批判されると誤解を解きたくなることもあるけど、全部は無理なので」

「美垢」運営がもたらしたもの

やせすぎてしまったので少し太りたいという優奈さん(写真:筆者撮影)

優奈さんがツイートする内容は、日常のこと。毎日のご飯、うれしかったこと、無理なく美しくなれる方法。周囲を見ていて、SNSがすべての中心になり、投稿するために出掛けたり、おしゃれなお店に行く人たちは違うんじゃないかと感じるそうです。しかし、自分自身も中学生のときはTwitterの世界に依存してしまったため、すごくもったいないことをしたと考えています。

「ネットの友達は架空みたいなものだと気づいた。今は、自分の言いたいことがあるときだけツイートする。それが結果的にウケればいいかなというぐらいに考えてる」

実際の生活を楽しく充実させることを大切にし、自分の好きな部分をアカウントにツイートする。それを繰り返していたら、段々と「理想のキャラクター」として作り上げた美容アカウントに自分が近づいてきたと言います。

女子高生にとってTwitterは、LINEに次いで利用頻度の高いサービスです(「女性のスマートフォン利用実態調査」MMD研究所)。カップルは共同アカウントを作って親交を深め、「趣味垢」では芸能人のファン同士で交流を楽しむ、というように複数のアカウントを使いこなすことは、もはや常識です。

今回の優奈ちゃんも、そんな複数アカウントのひとつとして「美容アカウント」を始めました。そのたったひとつのアカウントが、彼女に自信を持たせ、実生活での彼女にも変化を与えています。美容アカウントの楽しさを生き生きと語る彼女は「しかもTwitterは無料なんですよ」と言いました。誰もが使える無料ツールのTwitterは、彼女の人生をよりよく変えたのです。

鈴木 朋子 ITライター・スマホ安全アドバイザー

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すずき ともこ / Tomoko Suzuki

メーカー系SIerのSEを経て、フリーランスに。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。10代の生み出すデジタルカルチャーを追い続けており、子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動中。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など多数。
http://tomoko.chu.jp/

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