トランプ大統領を無視しすぎると儲からない 「嫌な奴」の主張も、すべては間違っていない

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確かにトランプ大統領はとんでもない人物には違いないのだが、こうした「印象操作」の恐ろしいところは、社会全体に「とんでもない人物が主張する政策はすべて間違ったものだ」という風潮を作り上げてしまうことだ。こうした先入観が形成されると、トランプ大統領の掲げる政策を客観的に分析することなどが難しくなってしまう。

「心理的に許容しない」ことによる「投資リスク」

「嫌いなやつの主張は、間違ったものである」という先入観にとらわれるとどうなるか。

昨年11月の米国大統領選挙前に多くの専門家たちが、トランプ候補が勝利したら世界経済はリーマンショックのような事態に襲われると繰り返してきたのも、こうした感情に支配されていたからである。大統領選挙後のトランプラリーによっていったん静まりを見せたこうした風潮が、トランプ大統領が正式に誕生する直前から、再び「大統領選挙前」に戻ってしまったことは、残念なことだ。

トランプ氏の予想外の勝利によって金融市場で沸き上がったトランプラリーによって、あのイングランド銀行を打ち負かした伝説的投資家であるジョージ・ソロス氏が10億ドルもの多額の損失を出したことが報じられた。大統領選挙ではヒラリー・クリントン候補を支持していたソロス氏にとって、トランプ候補勝利によって株価が大きく上昇するという状況は「想定外」というよりも、心情的に「許容外」だったのかもしれない。

ソロス氏が多額の損失を出したという報道は、少なくともマーケットでは、人間の感情や心情が強くなりすぎると、客観的な判断力や理性が失われるということを示していないだろうか。たとえ心情的に「許容外」のことでも、必ずしも間違ったことではないということを忘れてはならない。

トランプ大統領の政策に関しては「保護主義的」「ポピュリズム的」かつ「場当たり的」「整合性のないもの」という批判が強い。確かにトランプ大統領が掲げている政策の実現性には不確実性が大きい。しかし、筆者は1兆ドルのインフラ投資計画や法人減税、金融機関に対する規制緩和はうまくリンクしており、計画としてはそれなりに練られたものだと感じている。

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