トヨタ「ハリアー」の人気が落ちていない理由 国内専用車に転じた高級SUVの魅力

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現行レクサスRX

ハリアー人気は予想以上に根強い。

そう感じたトヨタは、ハリアーをグローバルカーであるRXとは切り離し、日本専用車として独自の道を歩ませることを決めた。

その回答となったのが、2013年に発表された現行3代目である。

日本に最適化

いかにもトヨタらしいのは、国内専用車となったことに合わせて、ボディを日本に最適化していることだ。具体的にはボディサイズを先代の2代目よりややダウンし、ガソリン前輪駆動車の最小回転半径は2代目から0.4メートルも小さな5.3メートルに留めている。エンジンもすべて4気筒として、ガソリン車は2リットル、ハイブリッド車は2.5リットルに縮小している。

先進と高級を感じさせる現行ハリアーのインパネ

それでも前後のウインドーを大きく倒したスマートなスタイリング、立体的な造形のインパネなど、先進と高級を感じさせるハリアーらしいデザインは受け継がれていた。もちろんエントリーモデルの価格は約280万円と、トヨタブランドにふさわしいレベルに収まっていた。

その結果、発売1カ月後の受注台数は、月間販売目標台数の8倍となる約2万台と、かなり好調なスタートを切った。その後も販売は堅調で、月間販売台数ではつねにベスト30圏内をキープしている。

2リットルクラスのSUVは、エクストレイル、CX-5、フォレスターなど、多くの国内メーカーが車種を擁する激戦区のひとつだ。しかし他車がグローバルモデルとして総合性能を追求しているのに対し、ハリアーは日本専用車として先進性と高級感に特化したクルマづくりを行ってきた。ライバルとは明らかに方向性が異なる、孤高の存在なのである。これが根強い支持につながっているのではないかとみている。

最近登場したC-HRもまた、グローバルモデルである。車格はハリアーに近いが、方向性はかなり異なる。ゆえにC-HRが発売されてもハリアーが食われることはなく、昨年12月の統計で両車がほぼ同じ順位で並ぶという現象が起こっているのだろう。この人気はどこまで続いていくのか。C-HRの販売台数ともども、気になるところである。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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