あの木村新司氏が「割り勘事業」を始める理由 「paymo」はマネー最適化の起爆剤になるか

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──paymoは支払いの際に、LINEのようにスタンプを使ってコミュニケーションができることも特徴の1つのようですが。

ウォレットのような単なる「ツール」だと、ユーザーにとってとっつきにくい。「割り勘」をしている場面を想像してみると、ご飯を食べたあと、喋りながら友達の間でおカネを渡していますよね。そうした「コミュニケーションの中でおカネが渡っている状況」を、アプリの中で再現しないといけない。なぜなら、ユーザーはこれまでしたことのない「新しい行動」をすることはないから。現実を再現しないといけないというのは、どんなウェブサービスでも同じだと考えています。

ちょっと気まずい支払いの場面も、コミュニケーション機能で円滑になる(AnyPay社提供)

──収益化はどのように考えているでしょうか。割り勘をするだけで手数料が発生すると、ユーザーにも抵抗感がありそうですが。

海外での類似サービスも、ユーザーからは手数料を取っていないことが多いですし、手数料を収益化のメインにする考えはありません。マッチングコストとして10%程度の手数料を取れる、フリマアプリのようにはいかない。

マネタイズの選択肢は広い

しかし、オフライン、オンラインともに、事業者向けに決済手数料を取るビジネスはあると思っています。他にも、たとえば中国企業のアリババが運営する「支付宝(アリペイ)」は、資産運用会社を持っていて、ユーザーから預かった資産でMMF(Money Management Fund)を買ったりしている。ユーザーが集まれば、マネタイズについては色々なやり方があります。ただ、サービスそれ自体で儲けるというより、あくまでバイラルしやすい仕組みを生かして、ユーザー獲得の手段にするということが大きい。みんなが使うようになってくれて、世の中を便利にすることを使命と考えています。

──そもそもの話になりますが、「決済」ビジネスにご自身で参入しようと考えたことには、どのような背景があったのでしょうか。

いくつかの状況の変化がありました。まず1つ目は、クレジットカード決済用の端末の名前をユーザーが認識するようになったこと。以前は、クレジットカード会社であるVISAやアメックスの名前は知られていましたが、決済端末がどこの会社のものかは、誰も関心がなかった。だから、カードビジネスは営業マンが一生懸命店舗に営業に回って、導入を勧めていたのですが、取引額が小さい店舗ではコストが見合わなくて広がりませんでした。

それが、スクエア、楽天ペイ、コイニーといったように、カード決済端末を提供する会社の名前をユーザーが覚えるということが起きるようになりました。そうすると、100人カードを切った人がいたら1人くらいは店舗を運営する人がいて、その人が「これ、スクエアって言うんだ。便利だな」と認識します。

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