あの木村新司氏が「割り勘事業」を始める理由

「paymo」はマネー最適化の起爆剤になるか

アメリカだと国民がシチズンIDである社会保障番号を持っていて、この番号とデビッドカードの情報をスマホに入れてしまえば、すぐにできます。中国はそもそも、そこまで厳しい規制を要求していない。一方で、日本は規制がある上に国民IDもないので、個人を特定するために免許証のデータを送って、その認証に数日かかるということになってしまう。

──「割り勘」のやり取りをする場面は、お店を出る前のちょっとした時間なので、それでは使われないですね……。

日本にも、海外と同じような市場はあるし、プレイヤーもいます。しかし、ユーザーの立場から考えると、立ち上がりにくい市場だったということ。「割り勘」する場面になってアプリを友達に勧めた時に、「運転免許証を登録して」と言われたら「うっ……」となってやめてしまう。個人情報を出してもらわないと使えないというのでは、やはり辛いでしょう。

このユーザーが「うっ」となる要素を取り除かないと、サービスとして広がることは難しい。paymoの特徴で一番大きなポイントは、ダウンロードすればすぐに使え、30秒程度で「割り勘」を完結できるように設計したことです。

まずは、飲食店での「割り勘」から

──そこまでのスピード感を実現したサービスは、今まで存在しなかった?

そうだと思います。ただ、そのかわり我々のサービスには制限があって、「LINE PAY」のように、単純に「誰かに1000円あげる」とか「寄付をする」といった使い方はできません。あくまでも「割り勘」に用途を限定しています。「割り勘」というのは、何らかの貸し借りの場面があるもので、理由もなくおカネをあげるということは起こらないはず。

ユーザーは「個人間決済できるアプリ」と言われても、何をしていいか理解しにくいので、まずは飲食店での「割り勘」時の利用に絞って伝えていきたい。ユーザーも増えてきたら、徐々にその他の使い方も提案したいと考えています。

──サービス開始から1年間で、700万人のユーザーを集める計画となっていますが、見通しはどうでしょうか。

CtoC(個人間取引)のサービスで重要になるのは、売り手と買い手の相互転換率です。たとえば、フリマアプリのメルカリでは、出品していた人が別の機会では買い手に回り、ユーザーの立場が転換することが、成長に大きく寄与しました。なぜなら、売り手が買い手にもなってぐるぐる循環してくれる仕組みなら、片方のユーザーを獲得するマーケティングコストだけで済み、成長スピードが加速度的に上がるからです。

──フリマのようなCtoCの場合は1対1の売買ですが、「割り勘」は複数人のグループで行うことが多いですね。

paymoは、単純に売り買いするサービスよりもバイラル(口コミ)で広がり、コミュニケーションアプリのLINEのような広がりを見せるのではないかと考えています。9月から始めたAnyPayというサービスを見て、どのくらいバイラルが起きるかはデータで把握していますが、性質上、AnyPayよりpaymoの方がバイラルするスピードは速くなるはず。やはり、肝になるのは本人確認などの手間がかからず、アプリを「すぐに使える」かどうか、です。

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