日本株は「3勝9敗」でもちょっと買いにくい 「郵政売り」出し方針で「売り優勢」になった?

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需給面でもう一つ見逃せない点がある。130兆円超の運用資産を誇る年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の保有株式額が膨らんでいることだ。2016年秋以降の株高がGPIFの内外株式構成比率を押し上げ、目標値となる50%に近づいているもようだ。

振り返ると2014年秋、GPIFは運用を見直し、基本ポートフォリオを日本株25%と外国株25%へ引き上げた。トランプラリーが始まる前の2016年9月末での株式構成比率は日本株が22%、外国株が21%。許容幅としてそれぞれ上下8~9%を設けているものの、それぞれ25%に近づいたようだ。

それを裏付けるデータがある。年金基金の売買動向を反映するといわれる信託銀行は2016年秋以降、日本株の売り越し基調を続けている。
日本株が下げないと買えない年金の運用担当者にとっては、足元の調整局面は下値を拾うタイミングに映りそうだ。今後は信託銀行が買い越しに転じるか、毎週原則木曜日に東京証券取引所から発表される「投資主体別の売買動向」に注目したい。

12日間で「3勝9敗」の日本株

テクニカル面からみると、日本株の下げ基調が鮮明となってきた。ぜひ投資初心者に覚えていただきたい、テクニカル指標のひとつにサイコロジカルラインがある。日々の株価が上昇なら「勝ち」、下落なら「負け」として、一定期間の株価の騰落を勝敗であらわす。通常は12日間を使い、9勝3敗以上を買われ過ぎ、3勝9敗以下を売られ過ぎとみなす。

これでいくと、過去12日間での日経平均のサイコロジカルラインは3勝9敗となった。つまり短期的な売られ過ぎの水準だが、2カ月ぶりに25日移動平均線(約1ヵ月の売買コスト)を大きく下回ったこともあり、目下のところは需給悪化がくすぶる。当面はこのあと株価が反発したとしても、戻り売りに押されそうだ。

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