大混戦「フランス大統領選」の注目点はどこか 極右ルペンvs.改革派マクロンの構図に
今年は欧州の選挙イヤー。数ある政治イベントの中で、潜在的なリスクの大きさと発生確率の高さから最も注目を集めるのは、4〜5月に行われるフランス大統領選挙だろう。
各種の世論調査が示唆するのは、共和党の予備選挙を制したフランソワ・フィヨン元首相(世論調査で24~30%程度の支持)と国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(世論調査で22~26%程度の支持)が決選投票で対峙し、フィヨン候補が勝利するとのものだ。
最終的にこうした結果に落ち着けば、欧州連合(EU)の中核メンバーであるフランスで反EU政権が誕生するリスクは回避され、金融市場に安心感が広がろう。秋のドイツ連邦議会選挙でのメルケル首相の再任は堅いため、今年の欧州の政治リスクの半分以上は消化したことになる。
ただ、投開票日までには、反EU政権誕生のリスクを高める方向にも、弱める方向にも作用しうる出来事が予想される。選挙戦の行方は引き続き流動的だ。そこで本稿では、今後どのような形で想定外のシナリオが発生する可能性があるのかを考察する。
独立候補マクロン氏が台風の目に
第1に検討すべきは、社会党の予備選(1月22日に初回投票、29日に決選投票)が本選に与える影響だ。歴史的な低支持率に喘ぐ現職のオランド大統領が再出馬を断念したことで、社会党の候補者選びはオランド政権で首相を務めたマニュエル・ヴァルス候補を軸に、前経済復興相のアルノー・モントブール候補、前教育相のブノワ・アモン候補等が追いかける展開となっている。何れの候補が予備選を制した場合も、本選を勝ち抜いて大統領に選出される望みは薄い。
だが、社会党の大統領候補が誰になるか次第で、ルペン候補の決選投票進出の望みが断たれる可能性が出てくる。鍵を握るのは、オランド政権の経済閣僚を辞任し、独立候補として大統領選に出馬するエマニュエル・マクロン候補の帰趨だ。最近の世論調査でマクロン候補は、ルペン候補に迫る16~24%程度の支持を集めている。
若手・改革派のマクロン候補の掲げる政策は、かつて仕えたバルス候補と似通っている。社会党予備選をヴァルス候補が制した場合、マクロン候補と支持層がかぶるため、マクロン票は伸び悩む。他方、党内左派のモントブール候補やアモン候補が予備選を制した場合、ヴァルス支持者の一部が本選ではマクロン支持に回ることが考えられる。
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