イオン、「GMS復活」への道程はまだまだ長い ブラックフライデーは盛況だったが・・・

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同社は2016年11月にプライベートブランド(PB)「トップバリュ」を値下げ、さらに同月下旬には米国の慣習を取り入れた大規模セール「ブラックフライデー」を実施した。セール期間中は既存店が15%増、中でも不振の続く衣料品は36%増と売り上げを伸ばした。業績改善は低価格戦略が一時的に奏効しただけとも考えられる。

GMS事業を担当する岡崎双一執行役は、「ブラックフライデーは成功したが、裏を返せば生活環境がそれだけ厳しいということ。今後については決して楽観していない」と率直に語る。

屋号を「イオン」に改めた旧ダイエー店舗の赤字もいまだ解消されていない。イオンはダイエーを2015年1月に完全子会社化。同社のGMS店舗を相次いでイオン店舗に改装してきた。

「閉店せず、よみがえらせる」方針を貫けるか

セブン&アイ・ホールディングス(HD)やユニー・ファミリーマートHDといったライバル企業が不振の店舗を閉鎖しGMS事業の縮小を急ぐ中、イオンは「閉店せず、よみがえらせる」方針を貫く。今年2月に終わる3カ年の中期計画は、8兆円以上という営業収益の目標こそ達成する見込みだが、営業利益は800億円以上も下回る公算が大きい。

今後の焦点は、新しい中期計画だ。当初2016年中ともいわれていたが、まだ発表されていない。GMSをできるかぎり閉店しない路線は守れるのか。ダイエー子会社化の果実も明確に示す必要がある。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(マーケティング担当、編集者)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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