日本人が知らない世界に広がるラーメン旋風 その契機は新横浜ラーメン博物館にあった

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フランクフルトの人気店「無垢-muku-ツヴァイテ」のラーメン

まずは小麦粉の問題。ヨーロッパにはラーメン用の粉がない。パン用の粉ではコシが出ず、美味しい麺が作れないのだ。フランクフルトの人気店「無垢-muku-ツヴァイテ」はピザ用の小麦とパスタ用のデュラム粉を配合し、雑穀を加えた自家製麺でラーメンを作っている。

スープの素材も然りだ。豚頭は皮付きのものが主で、ゲンコツも処理がされておらず、自分で下処理を行う必要がある。スープに取り掛かるまでに大変時間が掛かり、高いハードルとなっている。カツオ節や昆布などもいい素材がなく、苦労されているとのことだった。

現地でしか生み出せないラーメンが誕生している

そんな制約の中苦労して、現地でしか生み出せないラーメンが誕生しているのだ。中野氏は語る。

「日本人がいちばん“ラーメンに対する既成概念”を持っています。ラーメンはこうでなければいけないという決まりはないんです。どんな環境でも美味しいラーメンを作ろうと頑張っているお店を日本にも紹介したいと思っています。

ヨーロッパのラーメン店は今はどこも繁盛している状態ですが、今後、米国のように競争が生まれてくると思います。名うての職人がラーメン店を始めるようになり、全体のレベルが確実に上がってきています。日本では使っていない技法が現れ、日本のラーメン店にも影響を与えてくるようになると思います」

ヨーロッパは白濁豚骨と味噌がブーム。スープは濁らせないのが基本であるヨーロッパの常識を覆した豚骨ラーメン。見た目に敏感なヨーロッパ人には、油が表面に浮かずヘルシーに見えるので人気だという(実際の油分量やカロリーについてはそれほど語られていないようだ)。味噌はヨーロッパでは高級食材で、日本の約3倍の価格だ。

ラー博では「Ikemen Hollywood」(米国)、「カーザルカ」(イタリア)、「無垢-muku-ツヴァイテ」(ドイツ)の3店舗を誘致してきた。これからも世界で頑張っているお店を探していくという。ラーメンは場所を選ばずに親しまれる世界の料理となりつつある。

井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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