無理な株価の「ツケ」はまとめて払わされる 大発会の大幅高で麻痺した投資家の心理
もしこのまま元安が加速すれば、それがまた元からの資本投資思惑を招き、その思惑が元を押し下げる、といった、悪循環に陥るリスクが強まった。そこで中国政府は、自国の銀行に働きかけ、元売りのための短期の元融資金利を、一時年率100%にまで跳ね上げさせて、元の反転押し上げを目論んだ。こうした中国政府の元相場押し上げという行動の背景には、このまま元安を放置すれば、トランプ次期大統領から元相場が標的にされるとの懸念もあったものと推察される。
こうした中国の動きをみて、トランプ氏から標的にされそうなのは、元だけではなく日本円もだろう、という思惑が生じたことは自然だ。それがここ数日の米ドル・円相場の波乱要因となっている。
では、中国が動かなければ、円高は生じなかったかと言えば、それは疑問だ。述べたように、もともと一時118円を超えるような円安が、心理要因による行き過ぎで、無理があったのだと考える。中国元相場の反転は、円高への修正をもたらした一つのきっかけに過ぎないだろう。
連休後は高値更新の可能性も、不透明なトランプ会見
すでにトランプ氏はこれも「お得意の」ツイッターで、11日(水)に記者会見を行なうと公表している。当選後初めての記者会見ということで、注目は高まろうが、実際に何を話すのか、ましてや記者からどういう質問が出て、それに対してどう答えるのかは、全くわからない。
そもそも、予定通り11日に行なわれるかどうか自体も怪しい。したがって、事前にあれこれ考えてもしかたがないのだが、何かポジティブサプライズが出るとは見込みにくい。政策面での秘策、隠し球などないだろう。無難にこなして可もなく不可もないか、「この人、大丈夫か」などの何らかの不安が広がるかの、どちらかだろう。
ただ3連休明けの10日(火)は、前述したような大発会からの心理の上振れをひきずりうる。また、先週末の雇用統計を通過して、米国株価はイベント消化の安堵感から上伸したが、この堅調さが週明けの9日(月)も持続すれば、今週の日経平均株価は上値を追って始まり、5日(木)のザラ場高値である1万9615円を、小幅更新する可能性が高い。しかし当面の流れとしては、「トランプ相場」のやり過ぎのツケや、大発会の株価大幅上振れのツケを、いずれ支払う展開となるだろう。日経平均は、いったん上昇ののち下落に転じると見込み、今週のレンジは、1万9000~1万9700円を予想する。
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