無理な株価の「ツケ」はまとめて払わされる 大発会の大幅高で麻痺した投資家の心理
「大発会大幅高」が、投資家や専門家の、本来地に足が着いているはずの感覚を、狂わせる魔力はすさまじいものだと、背筋が寒くなる。この心理の「狂い」による日本株の強調展開は、目先はあと少し続いてしまうかもしれない。
国内株価の当面のメインシナリオは「調整色」
依然として、大統領選挙後の心理先行の「トランプ相場」は、そのツケを全く支払っていない。米国株は、繰り返し当コラムで主張しているように、予想PER(株価収益率)でみて正当化しがたい割高な水準にとどまっており、米ドルも購買力平価比較では、1985年9月のプラザ合意直前の状況に近い。このため米国株と米ドルの大幅調整は必至と考え、それが日本株を引きずり下ろす恐れは強いだろう。
筆者が懸念しているような、日米株価の下落や円高が生じたとして、そうした調整がいつまでかと言えば、トランプ次期政権が実際に始動する後よりも前の方が、次期政権に対する不安が台頭しやすいと見込む。1月20日の就任式や、その後の一般教書、予算教書を経てくると、かえって相場も落ち着いてくると予想する。
また、それまで内外株価や米ドル相場が下落する理由は、単にそれまでの、買われ過ぎ、浮かれ過ぎの剥落に過ぎない。何か内外の経済実態などに、深刻な悪化が生じるとは見込みにくい。実際、注目の的となっている米国の経済状況は、前述のISM製造業指数のみならず、非製造業指数も堅調だった。また週末の米雇用統計は、非農業部門雇用者数前月比が、12月は15.6万人増と、市場の事前予想の17.5万人増を1.9万人下回ったが、11月分が17.8万人増から20.4万人増へと2.6万人幅上方修正されており、それなりにしっかりした内容であったと言える。
一方、足元の米ドル円相場の波乱は、中国元相場の動きが作用したものだ、とも言われている。中国の先行きに、経済面、政治面から不安を持った中国人などが、中国から他国への資本逃避を起こしている、との観測が強まっている。
そのため、比較的自由に元を売買できる香港オフショア市場では、元の対米ドル相場の軟化が進み、一時1ドル7元手前までの元安となっていた。また、この対米ドルでの元安と、ビットコイン相場の上昇が並行的に進行していたため、中国人が元からビットコインに資金を移している、との思惑が生じて、それも投機的なさらなる元売りを招いている。
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