断トツにデキる人はどんな目標を立てるのか 森川亮氏が進化し続けるワケ

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──「仕事は楽しい」というのは間違っているともあります。

高い次元の目標の仕事ほどつらいことは多い。エベレストに登るのが楽しいという人はあまりいない。その分、高い成果が出る。高尾山を目標だと思う人では大きな仕事はできない。それをよしとすると、会社としても大きな成果はでない。楽しいのはそんなに仕事をしていないからだ。

断トツへの道は楽しいものではない。成長のためつねに自分を否定しなければならないし、厳密にいったら、幸せだと感じた瞬間に進化は止まるのだ。満足は自分を肯定することにつながる。断トツになろうとすればつねに幸せでない。それでも、その道に進めるかどうか。

会社もそう。ハッピーだなと思った瞬間に進化は止まってしまう。いつも中間地点だと思うことが重要だ。それはつらいことでもある。いくらやってもゴールにたどり着かないのだから。

──ご自身が実践されている?

そう。

──成長し続けるための心得としては。

高い目標を立てるのはもちろんだが、仕事を高速でこなし、余計なものを徹底的に捨てることが大事だ。地頭(じあたま)を改善するためには、多層的な視点でとらえ、異質なモノを切り分けるとともに、意味合いを突き詰める力をつける必要がある。

──同時に新しい価値を生み出すためには「当たり前を疑う」習慣が必要なのですね。

人間の視野は狭い。逆にいえば、フィルターがプログラミングされている。普段仕事をしているとそれが当たり前であり、いろんな材料が見えていない。本当に新しいことをしようとするなら、すべてが見える状況にしなければならないので、いったんフィルターを壊さないといけない。年を取れば取るほどそのフィルターを壊しにくくなるが、壊さないかぎり進化はない。

振れ幅を広げることで新しい発想が生まれる

『ダントツにすごい人になる――日本が生き残るための人材論』(祥伝社/141ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

──「振れ幅を広げる」ことも壊す1つの要素なのですね。

普段食べる好みのご飯に比べ極端に甘いもの、辛いものを食べると幅が増す。仕事もそうで、極端に甘い仕事と極端につらい仕事の両方をやってみると、振れ幅は広がる。今まで見えなかったものが見えてくる。あるいは、この仕事を30秒でやるとしたらどこまでできるか、1年かけてやるとしたらどこまでできるのかで、やり方を変えてみる。そうして具体的に振れ幅を広げることによって、新しい発想の生まれる可能性が増す。

──情熱と行動力も必要と。

信念を持って継続することだ。これしかないと、自分を追い込んでいく。ロジックはコンピュータに任せ、人間は感性の領域で、突然変異を生み出すのが役割。両者をうまくバランスさせる。天才的な感性で情熱がないといけない。ライト兄弟も技術で空を飛べたのではない。飛びたいという気持ちが空を飛ばせたのだ。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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