クックパッド「レシピへの集中」に潜む危険性 穐田前社長と佐野氏の関係はどうなるのか
ところが、佐野氏はこの路線をよしとしなかった。
事業の多角化ではなく、レシピ・料理という従来の軸に注力し、「高い成長性を見込める海外事業に経営資源を割くべき」と主張。世界100カ国でナンバーワンのレシピサイトとなることを目指し多言語化などを進める一方、周辺事業に関しては一転、売却に動いてきたというわけだ。
現在もクックパッド傘下には、習い事情報・仲介サイトを運営するコーチ・ユナイテッド、休日おでかけ情報サイトを運営するホリデーなど、レシピや料理と関係の薄い事業を手掛ける子会社が残っている。今後も事業売却が続く可能性はありそうだ。
動画メディアのライバルが続々
祖業に経営資源を集中することには一定の合理性があるかもしれない。ただ、「利益水準の維持はできても、今のままではビジネスの線が細く、成長ストーリーが見えない。(現体制になり)クックパッド株の魅力はほとんどなくなった」(いちよし経済研究所、企業調査部第一企業調査室長の納博司(なや・ひろし)主席研究員)と、厳しい見方も出ている。
クックパッドの収益の過半を占めるのは、プレミアム会員への有料課金だ。国内ではPC・ガラケーの時代から積み上げてきた圧倒的なレシピ数を武器に、主婦層を中心に課金ユーザーを増やしてきた。だが、海外では実績やブランド認知がない中、スマホ時代になって勃興してきたさまざまなメディアとも戦わなければならない。課金のハードルは低くないだろう。
国内に目を転じても、安泰とはいえない。LINE元社長の森川亮氏が立ち上げた「C CHANNEL」や、「DELISH KITCHEN」(エブリー)、「Tasty」(米バズフィード)といった、料理動画を扱う新興メディアが次々と登場し、若年層に人気を博している。これらは「分散型メディア」と呼ばれ、フェイスブックやツイッターなどのSNS上に積極的に動画を投稿するのが特徴だ。
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