クックパッド"分裂"、急成長にブレーキも 創業者が経営方針を巡り、現経営陣と対立

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創業者の佐野取締役は海外事業の担当。多角化戦略も認識していたはずだが・・・(撮影:引地信彦)

1月19日夜、クックパッド本社では社員が集められ、緊急集会が開かれた。

この日、同社は創業者の佐野陽光取締役と穐田(あきた)誉輝(よしてる)社長ら経営陣との間で、経営の主導権をめぐる対立が起きていることを公表。穐田社長は社員に経緯を説明し、「今までどおり、ユーザーと向き合ったサービスを作り続けてほしい」と訴えたという。

創業者と現社長にビジョンの”ズレ”

発表によると、株式の43.5%を保有する筆頭株主の佐野氏は3月の定時株主総会に向け、穐田社長ら全取締役(佐野氏を除く)の刷新を求める株主提案を実施。佐野氏は「高い成長性を見込める海外事業に経営資源を割いていない」と主張、「料理から離れた事業に注力するなど、経営ビジョンに大きな歪みが出てきた」と批判している。

クックパッドの主力事業は国内のレシピサイト運営だ。月間利用者数5500万(ブラウザベース)を誇り、有料会員の課金と広告収入で売上高の8割をたたき出す。次の成長に向けて、経営資源をどの領域に投入すべきか。この点について両者の方針は大きく乖離している。

穐田社長はレシピサイトにその他のサービスを加えて、国内でプラットフォーム化を進めてきた。一方の佐野氏は、レシピサイトの会員事業を軸に、世界規模のサービスを目指す勝負に出るべき、といった考えだ。しかし、多角化と世界戦略は本来、同時並行で進めてきたはずだった。

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