2017年は「地味できれいなオジサン」が勝つ 草食投資隊の「ゆく年くる年」さよなら2016年

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渋澤:まあ、トランプ氏はメディアの使い方が上手で、強かな不動産王ですからね。TPP離脱についてはトランプ氏の顔を立てる形で、実質的にトランプ氏が新たにTPP的なものを提唱して丸く収まるなんてこともあるのではないかと考えています。

藤野:トランプ的なものですか。

渋澤:たとえばトランプ・パワー・パートナーシップでTPPとかね。

中野:ふざけています?

渋澤:ちょっとね(笑)。でも、もちろんトランプ・パワー・パートナーシップなんて名称は、いくら何でもありえないと思うのですが、どうしてもTPPのような太平洋経済圏のルールメイクを通したい人たちがいるわけでしょ。そういう人たちは、いったんTPPを取り下げた後、トランプ氏の自己顕示欲を満足させるように、トランプの名前を入れて、ほとんど中身は同じだけれども、違うように見える協定を作るのです。案外、この方法は通るのではないかと思うのですが。

地道に改善続ける「きれいなオジサン」に投資を

中野:確かに、実を取るという意味で、この手の方法はあるかもしれませんね。最後に、2017年の投資のポイントをどう見ていますか。

藤野:「きれいなオジサン」銘柄が注目されると考えています。

渋澤:その心は?

藤野:オールドな会社のように見えるけれども、実は生産性革命を進めていたり、コーポレートガバナンスコードをきちっと整備していたりなど、内的に変化を遂げている会社のことです。それを、定期的にジムに通って贅肉を削ぎ落し、加齢臭が無くなる石鹸を使っていて、とても爽やかな感じのするオジサンに例えているのですが、そういう銘柄が結構増えています。

渋澤:じゃあ、「汚いオジサン」銘柄との違いは?

藤野:身体に悪そうなものばかりを食べて、タバコをスパスパ吸い、酒もガンガン呑んでクダ巻いているようなオジサンって、結構いるじゃないですか。若気の至りで、若い頃は少々、無茶な生活をしているのは許されますが、それをいい年になってもまだ続けているような人が大問題。会社も同じです。本質的にしっかりと改善を積み重ねている会社は、歳を重ねてもシュッとしていますよ。そういう会社を見つけて、投資することが大事だと思います。

中野:今の日本企業は、汚いオジサン勢力の力が強いところに、根本的な問題があるように思えます。日本全体が綺麗なオジサン企業になるには、まだ時間がかかりそうですね。

渋澤:綺麗なオジサン企業探しは、選別投資ということですね。日銀ETF買いに左右されるようなインデックス投資ではなく。

藤野:外国人投資家が、そういう企業を上手に見つけるのではないかと考えています。

中野:それと、最後の最後にもうひとつ。2016年は、我慢強く積立投資を続けていた人にとっては、高いリターンが積み上がる最良の1年だったと思います。何しろ、年末に結果として年初来の水準を回復するという株価の値動きを見ると、なべ底のような形で推移しましたからね。この調子で、2017年も積立投資を継続していただけたらと思いますね。

草食投資隊 渋澤 健、中野晴啓、藤野英人

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そうしょくとうしたい

コモンズ投信会長・渋澤 健、セゾン投信社長・中野晴啓、レオス・キャピタルワークス社長CIOの藤野英人の3氏で結成。根底には、「長期投資を根づかせたい」という3人の熱い思いがある。「草食投資隊」という名前は、投資=肉食系というイメージが一見つきまとうが、本質は違うのではないか、という3人の共通の考えによる。

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