「止まらない日本株」が、いったん止まるとき 2012年のアベノミクス相場とどこが違うのか
今の上昇相場はアベノミクス初期とどこが違うのか
12月15日、日経平均株価の騰落レシオ(25日平均)が、165%と過去最高水準まで上振れた。
東洋経済オンラインの読者の皆さんの中には、株式の初心者もいると思うので簡単に説明すると、騰落レシオとは、「市場全体の買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を推し測る、テクニカル指標の一つである。
計算の仕方は、一定期間の指標(日経平均株価や東証1部)の値上がり銘柄数合計を値下がり銘柄数合計で割って百分比で示す。値上がり数が値下がり数よりも多ければ100%を越えることになる。逆なら例えば30%とか50%、70%といった値になる。また1日だけ計測するのではなく、一定期間(たとえば25日分)をとって、移動平均(最新の1日分を入れて、一番古い日付のものを落とす)で見るという手法が一般的だ。
騰落レシオの一般的な目安としては、70%未満を底値圏、120~140%超を天井圏としている。この指標の信頼性は、底値圏(下げ相場)で高く、天井圏(上げ相場)で劣る。だが、いったん循環物色(セクターローテーション)が続くような息の長い上げ相場に入ると、騰落レシオは高止まりしてしまう。
ちなみに4年前の2012年12月、騰落レシオは164%まで上振れた。2012年末はアベノミクス相場の起点とほぼ重なり、その後の日経平均株価は1万0000円台から1万5000円台まで一気に上昇した。半年足らずで5割超の値上がりをみせた。
しかし、前回(2012年)と今回(2016年)が異なる点がある。東証1部時価総額と名目国内総生産(GDP)の関係だ。前回(2012年)は時価総額が450兆円まで急回復したが、当時の名目GDP472兆円には届いていなかった。
今回(2016年)の上昇相場では、時価総額がすでに580兆円前後まで膨らむ一方、名目GDP537兆円(2015年7-9月期の年率換算)を1割近く上回っている。なお、この2016年7-9月期の名目GDPは国際基準に対応し、研究開発費(R&D)となる約30兆円相当がカサ上げされている。
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