――確かに2016年は欧米の選挙が、国内では広島が年間を通してのキーワードになりましたが、2017年のマーケットをどう予測しますか?トランプ次期大統領は引き続きマーケットを悩ませてくれるかもしれませんし、欧州でもフランスやドイツで選挙が予定されています。
「7」のつく年は大変なことが起きている
吉崎:「7」のつく年は、1987年にブラックマンデー、1997年はアジア通貨危機、2007年は2008年のリーマンショックの先駆けとなったパリバショックなど、最近は100%大変なことになっていますね。もちろん1987年のブラックマンデー時は、大暴落の後、急騰したわけですが。
2017年はやっぱり視界不良の年でしょうね。だいたい、トランプ次期大統領は「予測不可能性こそが、交渉で勝つ秘訣」と言っている。さらに欧州はご指摘の通り選挙の年。中東の混迷は終わらないし、中国も2017年は共産党の全国代表大会(第19回)を秋に控えて、悩みは深いと思います。そうすると、2017年の結論は拙著の「気づいたら先頭に立っていた日本経済」(新潮新書)ということになるのでは。
――先進国は問題も多いものの、曲がりなりにも食べていくことだけという日常からは解放され、経済を「遊び」で伸ばす時代になった。ゲーム、観光、ギャンブル、さらには「第2の人生」マーケットが広大な日本は「いつのまにか世界の先頭に立っていた」という説ですね。一方、山崎さんは最新のコラムで「2017年は金利上昇の負の側面を考えないといけない。いま儲かっている人は、まずは株を1割から2割ほど売る。あと不動産は買わない方がいい」とおっしゃっていますね。
山崎 2017年年の注目点は何と言っても、米国の金融緩和終了と資産価格の関係でしょう。理屈上ドル金利上昇に伴う円安は日本株にプラスですが、世界的な資産価格下落が起こると抵抗できないでしょう。
ぐっちー:2017年?そりゃ、もう「トランプ次期大統領が一体何をやらかすのか」に左右される1年となるでしょう。実はすでにやらかしていると言う説もあります。だって、国務長官に現役のエクソンモービルのCEOであるティラーソン氏を持ってくるという「荒業」をやってのけましたからね。
その他にも、財務関連の閣僚にはゴールドマン及びウォールストリートの出身が3人という布陣です。トランプバブルがもう始まっているのかもしれませんが、いずれにせよわれわれ金融関係者には頭の痛い1年となることでしょう。