手が異常に冷える場合に疑われる「疾患」は? 寒さやストレスが引き金となるレイノー現象
寒くない季節でも、レイノー現象の症状があらわれることがある。夏の暑さを避けようと、エアコンのきいた部屋に入った時などだ。
ストレスを受けた時も、同じ反応が起こる可能性がある。動物が危険に遭遇すると、生き残るための活動に必要な細胞に血液を集めて身を守るが、人の体も同様の反応を起こすのだ。
ジョンズ・ホプキンス大学医学部のフレデリック・M・ウィグリー教授とニコラス・A・フラバン教授が、最近「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に発表した論文によると、レイノー現象は全人口の3~5%に起こるという。
男性の方が罹患率が高い
レイノー現象には「原発性」と「二次性」の2種類がある。原発性のほうが一般的だが、まだ原因は知られていない。二次性は、他の疾患や症状と関連している。具体的には、強皮症やリウマチ性関節炎、シェーグレン症候群といった結合組織疾患、あるいは自己免疫疾患などだ。塩化ビニルなどの化学物質や、掘削機などの振動を伴う機械を仕事で扱う人も、二次性のレイノー現象を発病しやすい。
原発性のレイノー現象が現われ始めるのは、通常15歳から30歳までの比較的若い頃だ。最大でその半数が、第一等親血縁者(両親・兄弟・子ども)にレイノー現象の親族がいる。女性のほうが男性よりも罹患率が高い。
原発性レイノー現象は、不快感はあっても危険ではなく、また二次性ほど深刻ではない。二次性は原発性よりも遅く、通常35歳から40歳にあらわれ始める。稀なケースではあるが、症状が重い場合は血流が慢性的に消失し、潰瘍や壊疽が生じて手術が必要になることもある。