ニッポンブランド再生への処方箋 もう一度ブランドで勝負するために

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技術系企業もブランドで稼げる

製品やサービスだけでなく、技術や素材もブランド化できます。ユニクロの「ヒートテック」はそれ自体がブランドとなっており、中国でもヒートテック素材の服は他より高くても売れています。B2Bメーカーのブランド構築はスリーエムのような素材メーカーでは古くから行われており、素材を「Scotchlite」「Thinsulate」のようなブランドとして育てることによって、高付加価値・高価格を維持しています。

もうひとつ、「売らない製品」によるすばらしいブランディングの例です。本田技研の「ASIMO」は誰もが知っているヒト型ロボットですが、商品としておカネを稼いでいるわけではありません。しかし、PRや広告に登場するASIMOはHondaブランドが目指す未来への夢、つまりブランドの核心価値を具体的かつ魅力的に伝える伝道師の役割を果たしています。ASIMOは、商品を超越した「夢を共有するためのシンボル」であり、強力なブランド活性化手段として機能しています。

ブランド活性化手法その② 広告・プロモーション

小規模の企業にとって、広告やプロモーションを利用したブランド強化策はちょっと縁遠く感じられるかもしれません。しかし、テレビや新聞など巨額の投資が必要なマス広告以外にも、実戦的なやり方はあります。たとえば、米国のマクドナルドが2007年にシカゴ市内に作った「Living lettuce billboard」という面白い屋外広告があります。

これは、マクドナルドのサラダ商品の広告で、巨大な看板上の培養土にレタスの種が埋め込まれており、3週間ほど経つと成長したレタスが「FRESH SALADS」という文字を形成するという仕組みです。本物のレタスを使ったサラダの広告という発想も面白いのですが、このキャンペーンのポイントは口コミの「ネタ」としての価値です。「日々育ちゆく野菜がやがて文字を形成する看板」はブログや動画サイト上で実況中継され、さらに転送・転載で増幅していきます。このような手法は「Viral Campaign」と呼ばれ、ウイルスが増殖するように口コミを広めます。看板ひとつでも、仕掛け次第でマス広告に匹敵するブランド発信が可能だということです。

伝統的な手法ですがPRも欠かせません。特に、信頼性イメージの向上にはメジャーな新聞や雑誌記事での紹介が有効です。そんな目で新華社発行の英字紙「China Daily」のビジネス欄を読んでいると、中国企業以外ではドイツを筆頭にヨーロッパ企業の記事が多いことに気づきます。彼らは「China Daily」への情報発信のパイプを持っており、また一見、記事のように見える有料の「記事体広告」も多用しています。インタビューを受けるトップは、見出しになりやすく記事を書きやすい具体的な企業戦略を語っているケースが多く、企業内コンプライアンスや投資家への配慮か、慎重な物言いに終始することが多い日本企業の幹部と大きな差があります。

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