JR「ダイヤ改正」で各社の収支はどう変わるか 列車本数や車両数の増減から独自検証
■JR九州
新設される列車が18本で、廃止となる列車は存在せず、1本の列車に連結される車両の数の増減はいまのところ発表されていない。以上から営業収益の増加額、そして営業収支の改善額は年間8億3984万0510円と見込まれる。
今回のダイヤ改正で注目されるのは、鹿児島・肥薩線の熊本―人吉間に観光列車の「かわせみやませみ」が6本誕生するという点だ。同列車の新設に伴って増加する営業収益は年間3億9857万6324円。JR九州のダイヤ改正で増える営業収益中で最多を占める。
鹿児島・長崎線を行く特急「かもめ」の増発も目に付く。今回既存の列車の区間延長2本を含めて3本が新設され、営業収益の増加額は合わせて2億0577万8742円に上る。
JR九州は去る10月25日に上場を果たした。初めて迎える今回のダイヤ改正の成果は株主にとっても目を離せないであろう。
モーダルシフトが追い風に
■JR貨物
列車の新設は6本、1本の列車に連結される車両の数は延べ48両増え、列車の廃止や1本の列車に連結される車両の減少は行われない。この結果、JR貨物の営業収益は年間25億4252万8109円増加し、この金額がそのまま営業収支の改善に結び付くと期待される。同社のニュースリリースによると、「トラックドライバー不足を背景とした物流業界の構造的問題を背景に、モーダルシフトに対する社会からの期待が高まっている」からだという。
新たに誕生する列車のなかで最も営業キロが長いのは、盛岡貨物タ―ミナルと愛知県の笠寺との間896.9キロメートルを結ぶ「TOYOTA LONGPASS EXPRESS」だ。トヨタ自動車東日本の岩手工場への部品の輸送を目的としており、既存の2本に今回加わる2本と合わせて4本体制となる。
名古屋貨物ターミナル―福岡貨物ターミナル間827.0キロメートルには今回2本の列車が設定となった。宅配便を中心とした貨物輸送の需要は高いための措置であるという。
新設となる列車の残り2本は既存の列車の区間延長である。2本とも東京貨物ターミナルと大阪府の吹田貨物ターミナルとの間の列車に対し、吹田貨物ターミナル―神戸貨物ターミナル間43.7キロメートルが延長されることとなった。実は既存の列車2本は2016年3月26日実施のダイヤ改正で誕生したばかり。登場から1年でさらに成長を遂げる結果となり、JR貨物にとっては明るい材料と言える。
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