JR「ダイヤ改正」で各社の収支はどう変わるか 列車本数や車両数の増減から独自検証
引き続き旺盛なインバウンド需要を取り込むため、成田空港アクセス特急の「成田エクスプレス」は東京―成田空港間の6本に対して連結される車両の数を6両増やし、12両編成で運転されるという。この結果得られると予想される営業収益の増加額は年間7億7642万4308円だ。
運転区間の短縮を含めて廃止となる50本の列車のうち、最も多く、また最も沿線の自治体に衝撃を与えることとなったのは14本が廃止となる千葉―木更津間の内房線系統の普通列車である。
今回の措置は、現状で千葉―安房鴨川方面間を行く内房線系統の普通列車のうち、千葉―木更津間を廃止して木更津―安房鴨川方面間の運転に変更することによるものだ。千葉―木更津間での旅客の減少、それから2015年度の旅客輸送密度が3254人と少ないために営業収支の悪い内房線君津―安房鴨川間の列車を千葉方面に乗り入れないようにして列車キロの削減を図るという2つの理由が挙げられる。
JR東日本は千葉―木更津間の沿線の市原市に対し、当初東京方面への直通列車の削減を打診したという。市原市としてはこのような提案は受け入れがたく、結局今回の内容に落ち着いた。
経営資源の適切配置で改正は最小限に
■JR東海
新設の列車3本、そして1本の列車に連結される車両の数を延べ3両増やし、営業収益は年間2億1843万0934円の増加の見込みだ。他方、2本の列車が廃止となる結果、年間3200万8895円の営業費用の減少が予想され、合わせて年間2億5043万9829円の営業収支が改善されると見込まれる。
列車の本数や1本の列車に連結される車両の数に変化が生じないと発表されているJR四国を除くと、JR東海のダイヤ改正の規模は最も小さい。しかも、ダイヤ改正で変化が生じるのは東海道線だけであり、区間も三島―静岡―島田間と限定的だ。これらのうち、最も大きなウエートを占めるのは沼津―静岡間を結ぶ通勤列車の「ホームライナー」で、土・休日に運転される分の調整となる。
ダイヤ改正の成果は規模の大小では計測できない。規模が小さいということはそれだけ経営資源が適切に配置されているからと言える。
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