JR「ダイヤ改正」で各社の収支はどう変わるか 列車本数や車両数の増減から独自検証

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■JR西日本

列車の新設が130本、1本の列車に連結される車両の数を延べ252両増やすことにより、JR西日本の営業収益は年間48億3844万8606円増加の見込みだ。いっぽうで24本の列車の廃止と述べ2両の車両が1本の列車に連結されなくなる。

この結果、予想される営業費用の減少額は年間2億4333万5899円で、合わせると営業収支の改善額は年間50億8174万4505円となる見通しとなった。営業収支の改善額はJR東日本に次いで多く、営業収益の増加額はJR各社中最多だ。

ダイヤ改正で延伸開業する可部線の電車(右)(写真:tarousite / PIXTA)

営業収益を増やす要因となったのは新たに開業する可部線可部―あき亀山間1・6キロメートルである。横川方面を発着する列車を延長する形態とはいえ、99本もの列車が新たに走り出すからだ。

実はこの区間は2003年12月1日に可部―三段峡間46.2キロメートルが廃止となった際に一緒に営業を取りやめた。その後、沿線の人口が増え、整備のうえ営業再開の運びとなったという極めて珍しい経緯をもつ。

JR西日本はダイヤ改正以降も関西空港線系統の列車には変更を施さない。とはいえ、関西国際空港では2017年1月下旬に第2ターミナルビル(国際線)の開業が予定されており、旅客の増加が期待される。現に並行する南海電気鉄道は輸送力の増強を旨としたダイヤ改正を2017年1月28日に実施するという。JR西日本も関西国際空港の利用者の動向を見ながら、今後列車の新設といった措置を取るかもしれない。

新観光列車は4月登場、ダイヤ改正は変化なし

■JR四国

公式の発表によると、JR四国は今回のダイヤ改正で列車の新設や廃止、1本の列車に連結される車両の増減は行わないという。そのいっぽうで同社は4月1日から土讃線多度津―大歩危間で新たな観光列車「四国まんなか千年ものがたり」を1日に2本走らせると発表した。

JR四国の1列車1営業キロ当たりの営業収益は1113.1円だ。多度津―大歩危間の営業キロは65.5キロメートルで、年間の運転日数は170日程度と発表された。したがって、営業収益の増加額は2478万9104円の見込みだ。

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