トヨタがWRC再参戦に込める本質的な狙い 2017シーズンは「ヤリスWRC」で走る

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「多くのパートナーに支援いただく中でも、マイクロソフトには走行データの解析など車両開発面でのサポートはもちろん、IoT(Internet of Things)を駆使して、多くの人にラリー楽しんでもらうような努力をしていきます」と語るのは、マーケティングを担当する友山茂樹氏。「精度の高い物」を「短時間」で「少ない人数」で開発するWRCへのチャレンジを、今後の量産車開発に生かす狙いが見える。

チーム代表トミ・マキネン

すでにトヨタは「クルマ作りの構造改革」と呼ばれるTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)を展開中で、プラットフォーム、パワートレインのみならず、クルマ作りそのものの刷新を行なっているが、ヤリス(ヴィッツ)クラスもTNGAに置き換わって行くということなのだろうか?

そんな質問を嵯峨氏にぶつけてみると、「言いづらいけど(笑)、そうしたい。また、WRカーの技術やイメージをフィードバックさせた市販車も期待されているので、応えるようにしていきたい」と答えてくれた。

苦戦すれば逆にブランド力を落とすリスクも

嵯峨氏は、「WRCはパワートレインや車体などレギュレーションもありますが、競争領域が大きいので知恵を活かせます。『勝つ事』と『いいクルマ作り』の割合は人によってまちまちですが、私は五分五分ですね」と話す。

一方、トヨタは過去にWRCで栄光を獲得したとはいえ、長いブランクのうえにチームもすべて刷新されている。この間にも激しいレースを戦ってきた競合に追いつくのは、いかに世界一の自動車メーカーであるトヨタといえど容易な話ではない。かつての栄光を知るWRCファンをガッカリさせるような戦いが目立つようなことになったら、かえってブランド力を落とすリスクもある。

もちろん、そのリスクを取ってもWRCに参戦していること自体がモータースポーツファンのみならず、幅広いユーザーに訴求する手立てとして価値があることには違いないが、当然ながら勝負の結果はシビアに求められるだろう。

12月13日に開かれた体制発表会の翌日、チームはフィンランドからフランス・トゥールーズ近郊に移動、ラトバラ選手による走行テストが行なわれた。テスト開始直後はクルマの動きも大きく、外から見ていてもアンダーステアに苦労しているように見えたが、スプリング/ダンパー/アンチロールバー/センターデフの制御を調整していくことで、最後は非常にスムーズな走りに仕上がっていた。

テスト後にラトバラ選手に話を聞くと「今回のテストでサスの動きが改善されました。エンジンは低回転で改善の余地がありますが非常にパワフル。空力面もかなりいいと思います」と語ってくれた。

WRC2017シーズンは、地上波ではテレビ朝日が全戦のハイライト番組を放送、CSはJ SPORTが全戦を放送&配信する。トヨタにとっての「古くて新しい挑戦」が始まる。

山本 シンヤ 自動車研究家

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やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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