トヨタがWRC再参戦に込める本質的な狙い 2017シーズンは「ヤリスWRC」で走る
WRC。「世界ラリー選手権」の通称で呼ばれ、F1(フォーミュラワン世界選手権)と双璧を成す自動車レースの世界最高峰だ。欧州や南米、オセアニアなどの各国で舗装・未舗装の公道を市販車ベースのマシンが高速で駆け抜ける迫力が、モータースポーツファンの人気を集めている。「公道を舞台にした最も過酷なモータースポーツ」といわれることもある。
そのWRCにトヨタ自動車が18年ぶりに帰ってくる。トヨタガズーレーシング(TOYOTA GAZOO Racing)が、「ヤリス」(日本名:ヴィッツ)をベースにしたワールドラリーカー(WRカー)の「ヤリスWRC」で、2017年1月20~22日に開催される「ラリー・モンテカルロ」から始まる全13戦の2017シーズンへ参戦する。
通算勝利数は日本メーカー最多の43勝
WRCといえばスバル(富士重工業)の「インプレッサWRX」、三菱自動車「ランサーエボリューション」のイメージが強い自動車好きも少なくないかもしれないが、かつてトヨタはWRCで強い存在感を発揮していた。「セリカ」「カローラ」などをベースにしたレースカーで1973年のWRC設立当初から参戦。通算勝利数は日本メーカー最多の43勝、4回のドライバータイトルと3回のマニュファクチャラーズタイトルを獲得したが、F1やル・マン24時間レースへの参戦も仕掛けていた時期に当たる1999年に撤退していた。
WRCにはスバル、三菱自動車のほかスズキも参戦していたが、現在はいずれもWRCから手を引いている。トヨタは日本車メーカーとして唯一復帰し、ヒュンダイ(韓国・現代自動車)やシトロエン、フォードなどと戦う。
トヨタがWRCへの再参戦を宣言したのは2015年1月30日にさかのぼる。それから約2年、今年12月13日には、フィンランド・ヘルシンキにあるフィンランディアホールでヤリスWRCの最終仕様とドライバーなどの参戦体制を発表。マシン開発に1年、パワートレインの開発には半年などとラリーカーとしては異例ともいえる短期間で準備を整えた。
ドライバーは、これまでヤリスWRCの開発を担当してきたユホ・ハンニネン選手に加え、2人目のドライバーとしてヤリ-マティ・ラバトラ選手の加入を発表。更にテストドライバーはWRCの一つ下のカテゴリーである「WRC2」チャンピオンのエサペッカ・ラッピ選手が担当する。
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