そんな「オレ様上司」がデフォルトである日本企業に圧倒的に不足しているもの。それが「褒め力(ほめりょく)」である。BBCのコラムニスト、エリック・バートン氏は、2016年8月23日、「なんで日本では褒めないのか」という記事の中で「伝統的な日本の階層的な職場社会においては、ポジティブなフィードバックはほぼ、ありえない」と書いている。まさに「西洋の国々とも、ほかのアジアの国々ともまったく異なるビジネスルール」(同記事)の下の特殊なコミュニケーションカルチャーといえるだろう。
日本の「褒め力」不足は、海外で暮らしてみると特に強く感じるものだ。アメリカやイギリスでは、職場でも、プライベートの場でも、学校でも、さまざまな場面で小さなことでもほめられる。そもそも、「褒め言葉」そのものが英語には圧倒的に多く、「子供を褒める100の言葉」リストがあるように、とにかく人を称賛する形容詞の数が無限にある。Super, Fabulous, Amazing, Great, Fantastic, Terrific, Awesome, Marvelous, Brilliantなどなど、日本語にしたら、全部「すごいね!」にしかならないことを考えると、そもそも日本語には褒める語彙が少ないのかもしれない。
会社員の8割以上が褒められたいと思っている
「日本は褒めない文化なのだから仕方ない」とか、「欧米流の褒め育てが挫折に弱い日本の若者を生み出している」といった声もあるが、筆者に言わせれば、日本の褒め力GDPは世界水準よりダントツに低く、絶望的な「飢餓」状態にあるといってもいい。
実際に日本の「褒め力」はどの程度のものかを知りたくて、筆者は会社に勤めている1000人を対象にネットで自主調査をしてみた。その結果は以下のようなものだった。
A 「ポジティブ」(84.1%)「ネガティブ」(15.9%)
A 「褒めるタイプ」(42.3%)、「褒めないタイプ」(57.7%)
つまり8割以上が褒められたいのに、実際に4割程度しか褒められていないという「褒め格差」が存在することがわかった。
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