「能率協会」の母親向け手帳が売れている理由 手帳の売れ行きランキング上位を独占

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縮小

「能率手帳」が市販された当時は「手帳はもらうもの」だった。社員への支給品や、得意先への贈答品として使われたのだ。もちろん能率手帳も、そうした用途で大いに普及し、一般への認知度も高まった。その後、バブルの崩壊とともに法人手帳は縮小。「手帳は買うもの」へ移行し、能率手帳も近年では新規ユーザーが増えず、購入者が高齢化しているという課題があった。そこで2013年にNOLTYとして刷新し、若年ユーザーの取り込みを図っているところだ。

ママ向け手帳は、その新ブランド発売から1年さかのぼる2012年に発売された。ママ向け手帳の企画を一から立ち上げたのが、出産から復職したばかりだったという潮村氏だった。

「仕事と育児を両立させなければならないという事態になって、手帳の使い方が変わってきました。自分の予定だけでなく、子どもと夫の予定も把握しなければならない。書き方を工夫しなければ、毎日の生活がごちゃごちゃになってしまうんです」(潮村氏)

そこでママ友や、社員、社内のパートナースタッフとして働く主婦などに、どのように手帳を使っているかの聞き込みを行った。すると、ペンの色を家族それぞれで変える、カレンダーに書き込みスマホで撮るなど、家族の予定管理に苦労している実態がわかってきたという。

「家族の予定を1冊で管理できる手帳が必要だと感じ、企画を検討しました」(潮村氏)

「主婦向けなんて、売れるの?」

月間レイアウト。上下に罫線が引かれ、仕事の予定とプライベートの予定を分けて記入できる(写真:日本能率協会提供)

しかし、JMAMは“無難路線”のメーカー。重視されるのは汎用性であり、ターゲットを絞り込んだ、個性の強い商品開発の経験があまりない。1990年代に「女性向けビジネス手帳」として売り出した手帳も、あまりぱっとせず打ち切ったという経緯があった。そのため社内でも「主婦向けなんて、売れるの?」と心配する声が多かった。

「ただ、当時は新ブランド(NOLTY)の立ち上げを検討していた時期でしたから、新しいものに挑戦しよう、という雰囲気は高まっていたと思います。また、社内に出産・育児休暇後の復職者が多いことなどにも後押しされて、発売に踏み切ることになりました」(潮村氏)

初年は保守的に、あまり「ファミリー色」を打ち出さずに発売したが、21万冊を売り上げた。翌年からは、手帳につけるオビや広告で、大々的に「ママ向け」「ファミリー向け」をうたった。

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