次に考えられるのは、勉強方法が違うというものです。確かに、勉強にはできるようになるメカニズムというものがあり、それに沿えばある程度、誰でもできるようになります。これまでも私の記事で勉強方法については述べてきましたので、詳しくはそちらに譲りますが、嵯峨さんの場合、ある程度、成績が取れていますから、方法が大きく違っているということは考えにくいですね。テスト勉強の詰めが甘いとか、テスト中の見直しの仕方が違っているということは考えられますが、おそらく本質的問題はそこにはないでしょう。
では、同じ授業を受けていて、差がついてしまう理由は、何なのでしょうか。
私は、これまで3000人以上の生徒を直接指導し、さらに東京大学大学院に6年以上通いながら周囲の東大生にヒアリングした結果わかった、あることがあります。これが今回、私がお話したいことなのです。
では、結論から言ってしまいましょう。簡単に言ってしまえば、
「できる子は、勉強時間以外も学んでいる」
ということです。
彼らは始終「学んで」いるのです。ですから、表面的な授業時間で差がついているのではないのです。
「学び」のタイプは3つ
では、もう少しわかりやすくお話しましょう。「学び」のタイプは大きく3つあります。(1)授業を受けていても学んでいない人、(2)授業だけが学びの人、(3)寝ているとき以外の日常すべてが学びの人、この3つです。
1、授業を受けても学んでいない人
いますよね、こういう子。かくいう私も例外ではありませんでした。「本当に真剣に授業を受けていたんですか?」と問われると、「はい」とは言えません。いすには座って、黒板に書いてあることを書き写す“作業”を黙々と行う。そして、たまに先生の雑談が入ると聞く耳スイッチが入り、よく話を聞く。そしてまた授業に入ると、再び上の空になってただ書記をしているだけ。これが多くの人が経験していることではないでしょうか。
子どもたちにとって、非常に多くの時間を占める授業時間をこのように過ごしていたのでは、話になりません。
ゆとり教育以前、日本の学校では、生徒の成績が集団のどのあたりに位置するかを「相対評価」で行い、5段階評価していましたが、そこで3以下を取るような子の多くが、こうしたやり方で勉強をしているのではないかと筆者は考えています。5段階評価の正規分布でいえば3以下が全体の69%になりますが、そのくらい多いのではないかという感覚です。(3が38%、2が24%、1が7%ということの合計です)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら