レクサス超高級クーペ「LC」は一体どんな車か これまでのトヨタ車系とは違うフィーリング
これまでのトヨタ車系とはまるで異なるフィーリング
荒れた市街地から、高速道路、郊外ワインディング、そしてサーキットまで。様々なシチュエーションで試したこの新型クーペから筆者が感じたものは、「他にはないライドテイスト」、というレクサスが目指したに違いない新たな価値の創造だった。
もちろん、それ以前に、LCというクルマには、デザインという強力な武器が存在する。コンセプトデザインの実現こそが開発の全てであった。そこからプラットフォームやパワートレーンといった中身が決定された、のだ。大型ラグジュアリークーペとしては、これ以上望むべくもない開発のプロセスだったと言っていい。個性的で見どころいっぱいのスタイリングと、フィニッシュ質感の高い内外装は、もうそれだけで、欲しいと思わせるほどに魅力的ではある。
とはいうものの、カタチばかりのクーペが称賛された歴史もまたない。スタイリングに見合った“乗後感”もまた重要で、しかも、それが独自であるにこしたことはない。レクサスが今、目指すべきブランドの世界観を創出しえた、と感じたのは、圧倒的に、ハイブリッドモデルLC500hのほうだった。
新開発のマルチステージハブリッドシステムがもたらすドライブフィールは、これまでのどのハイブリッドカーとも全く違っていた。特に、これまでのトヨタ車系とはまるで異なるフィーリングだ。4段ギアをトヨタ流ハイブリッドシステムに統合することで、欧州のメジャーブランドに伍するドライバビリティとパフォーマンスを兼ね備えている。
それは、海外メジャーブランドの得意とするシンプルなドライビングファンや官能性に訴えるものではない。たとえば、“透明感”や“清涼感”といった表現がよく似合うと思う。加速フィールは右足の意思に忠実で、しかもリニアリティに優れている。スポーツ+モードで腹に響くサウンドは、抑制が効いていて、爆音でないのが今風だ。