2017年の波乱要因は想定外の「原油価格上昇」

OPECの減産合意は過小評価されている

注目すべきは、増産を目論んでいたイラクが21万バレルの減産を受け入れたことである。これは真の意味でサプライズだった。そして、サウジも49万バレルの減産を受け入れた。「痛み分け」との見方もあるが、そのような軽い判断ではないことは、原油市場の歴史を知る関係者からすれば、半ば当然の見方になる。つまり、それだけ両国とも、原油価格の押し上げが必要と考えているということである。

サウジも原油価格の低迷による財政面のひっ迫は切実な問題になっている。今回の合意でOPEC加盟各国はそれぞれ痛みを伴う決定を行ったわけだが、とりわけサウジとイラクが減産を受け入れた点において、今回の減産決定は「歴史的合意」といってよいだろう。

減産合意と需要増で2017年の需給はひっ迫も?

OPEC加盟国が決定内容に従って、合計で約120万バレルの減産を順守すれば、翌年には現行水準から大幅に需給は引き締まる。つまり、来年になれば、現在の生産量の水準である日量3364万バレルから約120万バレルが市場から消えてなくなることになる。

さらに、世界の石油需要は来年になればさらに日量100万バレル程度増加する見通しである。つまり、現在の需給バランスは、来年になれば現状から日量200万バレルから250万バレルも改善されることになる。その結果、需給はむしろひっ迫に向かう可能性さえある。

もう一つ、今回の総会では、OPECは非加盟国にも日量60万バレルの減産を要請するとしている。これが実際に行われるようだと、需給はさらに改善する。国際エネルギー機関(IEA)は、これまで来年中の需給バランスの均衡を予測していたが、今回のOPEC減産合意により、それがかなり早まる可能性があると指摘している。

このような需給バランスの改善が確認されれば、原油価格は当然のように上昇するだろう。一部には、OPECが減産しても、その分米国のシェールオイル企業が増産するため、効果はないとする向きもある。しかし、競争力のあるシェールオイルでさえ、生産コストは45ドル前後とみられている。

米国の石油会社全体の損益分岐点を考慮すれば、持続的な原油生産には50ドルから55ドルは最低でも必要である。市場では、トランプ氏が大統領になれば、環境規制が緩和され、生産コストが下がるため、原油価格に下押し圧力が掛かるとの見方がある。

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