2017年の波乱要因は想定外の「原油価格上昇」

OPECの減産合意は過小評価されている

8年ぶりの減産を決めたOPEC。今は市場が無視している格好だが、2017年の米国の株価に影響を与えるかもしれない(写真:ロイター/アフロ)

トランプラリーが続いている。米国株の上昇がなかなか止まらない。ダウ平均株価は連日のように過去最高値を更新、市場の関心は「いつまで米国株の上昇が続くのか」に集っている。一方で、これまで株式市場が株価下落の理由にしてきた、原油価格の動向には、「最悪期を脱した」くらいの漠然とした認識はあるようだが、ほとんど見向きもされない。

8年ぶりのOPEC減産は「歴史的合意」

さて、その原油価格は1バレル50ドル台前後までようやく回復してきた。もちろん、その背景には、OPEC(石油輸出国機構)が11月30日にウィーンで定例会合を開催し、生産量を日量3250万バレルに設定することで合意したことがある。

市場では、これまでのOPEC加盟国間の見解や立場の違いなどから、「減産合意は困難」と見方も少なくなかった。OPECは9月28日にアルジェリアで非公式会合を行い、生産量を日量3250~3300万バレルの範囲に収めることで合意していたが、この合意が反故にされるのではないかとの見方は根強かった。

事実、イランは経済制裁からの復活を名目に、生産量の拡大を訴えていた。また増産体制を整えるイラクも、自国の生産だけは増やしたいとし、身勝手な発言を繰り返していた。これらに対して、サウジアラビアは穏便にしていたが、さすがに業を煮やして「イラクが増産するなら、われわれ(サウジ)も大幅増産を行う」と一時は開き直っていたのである。「減産合意はかなり難しい」との見方が有力だったのは無理もない。

しかし、最終的には減産合意で収まった。それも、各国の生産量を一律に減らすことで合意したのである。今回の合意は2017年1月から半年間有効で、減産は2008年9月の総会以来、8年ぶりとなる。

今回の合意では、国内情勢不安を背景に産油量が大幅減となっているナイジェリアとリビアは減産を免除された。また経済制裁からの復活を目指すイランも日量9万バレルの増産余地を得た。イランは増産を勝ち取った格好だが、それでも経済制裁前の生産量の400~420万バレルまでの増産に抑制される。これらは、まさに現状を十分に考慮したものであり、非常にバランスのとれた合意内容だったといえる。一方、インドネシアは純輸入国に転じたことから、来年度はOPECへの加盟資格を失う見通しである。

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