まずは、人気のベーカリー・プランタン工房に、あなごをパンに挟んだ試作品を持参しました。しかし納得は得られず、すぐにはあなごパンの実現には至りませんでした。さらに2年かけて再挑戦したところ、その熱心さに打たれて、工場長が協力してくれることになりました。試行錯誤の末、フライにした焼あなごにわさびマヨネーズを添え、パンで挟んだ「あなごドッグ」が誕生。あなごのタレがブリオッシュ生地のパンと相性抜群で、後を引くおいしさと堺の新名物になりました。パンとあなごは少し違和感があるかもしれませんが、世界にはトルコ名物さばサンドなどもあります。意外と病みつきになる味なのです。
たこ昌のオーナーとは堺のあなごの試食会で出会いました。その縁で、自慢の明石焼きにタコではなく焼あなごを入れて焼き上げてもらいました。これを「堺焼」と命名。ふんわりととろける上品なおいしさで人気となります。堺の土産として冷凍堺焼にもなり、マスコミなどでも多数取り上げられました。そのほか、「秤目会席」のシティホテル青雲荘、「あなごづくし会席」の山海料理仁志乃といった名店が協賛してくれて、2012年、第1弾の「堺あなごMAP」が出来上がりました。
それから4年。内容をバージョンアップしようと、松井社長は新しい「あなごMAP」作りを呼びかけます。今までの取り組みが認められ、堺市の後押しもあって堺シティプロモーションからの助成金が決定。松井泉の「あなご小屋」も加え計14店を掲載した改訂版「堺あなごグルメMAP」が完成しました。さまざまなあなご料理と共に、仁徳天皇陵古墳、知恵の文殊・家原(えばら)寺などの名所も紹介され、堺周遊には格好のガイドマップとなっています。
そして今年の11月4日、あなごの日の前夜祭として、堺市役所で「堺あなご祭」が開催されましたが、その席上でこの新しい「あなごMAP」もご披露されました。市役所地下の会場は超満員。掲載されたお店が自慢のあなご料理を会場に持ち寄り、みなで秋のおいしいあなごを満喫しました。
あなごのおいしさを全国に発信
松井社長は、自らのあなごについての思いを大学で講義したことがありますが、そこで衝撃の事実に出会います。受講した約100名のほとんどが、家庭であなごを食べたことがない、というのです。やはり、まずはあなごを知ってもらわねば、という思いを強くしました。
あなごによく似ているのがウナギですが、こちらはさすがによく知られています。でも最近のウナギは価格が高騰していて、国産で天然ものなどはちょっと手の出ないお値段です。その点あなごは、焼きあなごでも1尾500円程度とお手頃です。一般に、ウナギより栄養価が低いと言われますが、脂ののったおいしいあなごなら、養殖ウナギとカロリーはそう変わりません。
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