ただ、これはあくまで医学部の入試問題である。それを考慮すると、やはり私が提唱する9つの医師の能力・資質と関連づけて答えを訴求していくのが良いだろう。
医師に必要な9つの能力・資質
①患者の要望に耳を傾け正しく応える力(聞く能力)
②正当な注意力、判断力(科学的判断に基づく正しい行為から逸脱しない能力)
③正当な開拓精神(不確実性に立ち向かう能力)
④研鑽能力(医師としての技量を磨き深める能力)
⑤利益衡量能力(複数の価値が対立している場合にそれぞれの利益を調整し、よりよい結論を導く能力)
⑥情報収集力(新しい知見や情報を収集する能力)
⑦空間把握能力(腹腔鏡手術などで要求される能力)
⑧推理能力(患者が訴える症状から病巣を推理する能力)
⑨公共性・公共心(おおやけを意識し思う心、社会の利益を追求する心)
参照:『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)
本文へのアプローチ方法としては、まず⑧の「推理能力」を駆使すればよいだろう。私が受講生にアドバイスしたのは、以下の思考プロセスである。
A.判じ絵とは何なのか。おそらくこれは、クイズ、なぞなぞ、トンチの類なのではないか。
B.もし、そうであれば、この絵は物や生き物を表しているはずだ。
C.この2本の棒はクモの巣にかかっているので、一般的には昆虫か何かを表しているのではないか。
D.クモの巣にかかる2本の棒のようなものは、右は「モリ」のように見えるが、左は「キリ」であろう。
E.左のキリには濁点がふられている。つまり「ギリ」である。
E.左のキリには濁点がふられている。つまり「ギリ」である。
ここまで話したところで、質問した受講生は「『モリ』に『ギリ』に『クモの巣』?何ですかそれは…??」と疑問符だらけの表情になった。そこで私は、プロセスFとして、以下のように説明した。
F.右のモリのような道具は、モリにしては短いから、これもキリの一種なのではないか。そして、クモの巣をただの“ス”と読む。すると……
巣にかかる虫そのものに「ス」が入ってしまっている点は論理的ではないが、ナゾナゾの一種なので、この解釈は許容範囲であろう。巣にかかる物の正体が虫というのも妥当である。結局のところ(1)の解答はこうなる。
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