ベネッセは「デジタル路線」から転換できるか 半年で3人の社長が登板、迷走を止められるか

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特に進研ゼミは2000年代半ばからゆとり教育への危機感と個別対応を売りに会員数を大幅に伸ばした。だが、最近は個別指導塾やインターネット予備校など、多種多様な業態が台頭し、競争は激化している。

「ベネッセの社員はまじめで事務処理能力も高いが、変化に対しては消極的な傾向がある」とある業界関係者は言う。

大きかった情報漏洩の代償

2014年7月、個人情報漏洩が発覚し、緊急記者会見を行うHDの原田泳幸社長と事業会社の小林仁社長(いずれも肩書は当時のもの、撮影:大塚一仁)

こうした事態を打開するため、ベネッセは日本マクドナルドHD前社長の原田氏を社長に起用した。

ところが就任直後に漏洩事件が発覚。原田氏は在任中、打開策として教材のデジタル化、ダイレクトメール(DM)戦略の見直しやショッピングセンターでの体験会など次々に改革を進めた。

しかし期待のデジタル教材は、「価格が高い」「学習に関係ないサイトを閲覧しそう」と保護者が敬遠。今年4月の導入時点では、会員の8%しかデジタルを選ばないという結果に終わった。

国内事業を担当する小林仁副社長は「過去2年間に打った手は顧客視点が欠けていた」と反省する。

安達氏の下、ベネッセは原田路線からの転換を進める。進研ゼミは再び紙を中心とした講座に絞り込み、一部講座の価格を引き下げる。同時に補助教材として、スマートフォンで見られる講義動画などをそろえる。DMはネットや電話と組み合わせ、利用者に合わせたサービスの提案を強化する。本来の強みに立ち返りつつ、利用者の声を意識した改革を進める計画だ。

「以前(原田氏の路線)は紙や端末の選択肢が多く、どれを選べばよいかがわかりにくかった。今回はわれわれの薦める教材をシンプルに打ち出す。体系的に勉強するには紙の教材。デジタルはあくまでも補助教材だ」(安達氏)

さらに、学校向け事業にも商機を見いだしている。高校生向け模擬試験「進研模試」などの受験者数は着実に増え、2015年度には、延べ1000万人に達した。2020年度には思考力や表現力により重点を置いた大学入試改革も控えている。ベネッセの持つ知見やネットワークを生かし、教育事業の領域拡大を狙う。

過去3年余りに及ぶ混乱に終止符を打ち、進研ゼミの会員数減少に歯止めをかけられるのか。安達社長が投資ファンドで培った経営再建の力が問われている。

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