あのバブルを、そろそろ歴史として捉えよう

80年代バブルを駆け抜けた「好漢」たちの群像

20世紀最大のバブルを俯瞰する(写真:Yellowj / PIXTA)

本書『バブル』は「始動」「膨張」「狂乱」「精算」の4章、全21節で構成された好漢譚として楽しむことができる今年一番のおすすめ本だ。

各節ごとにそれぞれ10人ほどの好漢たちが登場し、各々の役割を演じては舞台を去ってゆく。その好漢たちとは時の首相であり、日銀総裁であり、証券会社の経営者であり、銀行の頭取たちだ。もちろんバブル紳士も高級官僚も登場する。

いまを生きる日本人が知っておくべき真実

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広辞苑によれば、好漢とは「好ましい男」。けっして「正義の男」でも「立派な男」でもない。男として魅力的ではあるが、どこか危ういところを持っている人物たちだ。著者は同時代の取材対象になった好漢たちと密に接しながらも、その妖しい魅力に惑わされることなく、現代政治経済史の証言者に徹したジャーナリストだ。しかし、その彼もまた好漢なのである。

その証左は本書冒頭の一文だ。「バブルとは、グローバル化による世界システムの一体化のうねりに対して、それぞれの国や地域が固有の文化や制度、人間の価値観を維持しようとしたときに生じる矛盾と乖離であり、それが生みだす物語である」とするのだ。

経済学的な定義としてバブルとは、ファンダメンタルズから乖離した資産価格の上昇、とでもいうべき事象であろう。しかし、著者はそのような静的な定義など無意味だといわんばかりに、物語のなかに時空を見つめるのだ。それが正しいかどうかは判らない。読者が判断するべきであろう。しかし、著者は好漢たる人物たちと戦後の日本システムのなかに、いまを生きる日本人が知っておくべき真実を見出すのだ。

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