一瞬で相手が喜ぶ!中山秀征の「話の振り方」

エピソードを引き出す極意とは?

三枝:奥にしまわれていた、記憶の引き出しがパッと開くためには、上手な「呼び水」が必要ですからね。

中山:ありとあらゆる包囲網でつついていくというか、「そうそう、それなんだよ」ときて、「あのときは実はこうだったんだよね」という正解が出てくる。こちらはうろ覚えでも間違えていてもよくて「それは誤解なんだよ」という方向でもいい。怒られても、感動されても、笑われてもいい。きっかけにさえなれば、どっちにも回りますから。響かないのがいちばん辛いです。

三枝:のれんに腕押しでリアクションがないのは辛いですよね。

中山:たとえば「ウチくる!?」でも、失敗談を聞きたいときに、失敗談を話してと言っても出てきません。でも、自分の失敗談を入れると、「それくらいならばありますよ」と、相手からエピソードが出てくる。本人は普通だと思っていることに、面白いことが多いんです。「こんな話、面白くありませんよね」と思っている女優さんに、そんなことないですよと気づいてもらうのが、MCの仕事なんです。

三枝:相手の懐に入ることは大事ですよね。難敵の取引先を攻略したいビジネスマンにも参考になると思います。

面白いネタは本番前の雑談で拾う

中山:自分のエピソードを話すときは、軽いものがいいです。強すぎると引き出せないんです。

三枝 孝臣(さえぐさ たかおみ)/1966年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。1989年日本テレビ入社。『ZIP!』『スッキリ!!』『シューイチ』を日テレの看板番組に育て上げた敏腕プロデューサー。ドラマからバラエティまで、手掛けた番組は100を超える。2015年日本テレビを退社。自らの経験をもとにメディアデザイン会社「アブリオ」を設立し、LINEの前社長、森川亮氏と共に新事業「C CHANNEL」を立ち上げる。現在、メディアを超えたコンテンツプロデューサーとして活躍している

三枝:たしかに、こちらの話が強いとダメで、軽い感じの呼び水程度がいちばんいい。そのさじ加減は、現場の経験を積んでいくしかないところがあると思いますが。

中山:相手の話の上に自分の大きな話を乗せると、それは「潰し」になってしまうんです。「さすが俺でしょ」みたいなのは、自分の力を見せることはできるのでしょうが、好きではありません。

三枝:引き出すための事前の準備は、どうされているんでしょうか?

中山:トーク番組だと、僕は始まるまでが長いです。たとえば、ロケバスの中で、くだらないことでもなんでもかんでも話す。だから、僕はロケバスの中では寝ません。

三枝:ははあ、そこまでが準備。

中山:簡単な資料はスタッフが用意してくれますが、それじゃ話にはならない。面白い話は今日、この撮影現場で生まれるんです。「DAISUKI!」でも「ウチくる!?」でも、移動中は一切寝ません。その間にゲストと話している中で、引っかかってくるものがありますから。

三枝:今日「ほじくれるもの」が、本番前の雑談から出てくるんですね。

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