日本の感覚でいうと、田園調布の家の内覧をしたいから、ということで案内してくれて、田園調布中の知り合いを気軽に紹介してくれているようなものか……。見る人から見れば脇が甘いという指摘もあるのかもしれないが、当社のような中小企業にはとてもありがたい存在だ。
目利き能力を結果的に養うような提案ができれば
何年か前に、超有名宝飾ブランドがシンガポールで「この世にひとつしかないハイジュエリー展」を企画し、私がリンさんに同行したことがある。この世にひとつしかない宝飾品なのだから高額は高額だ。しかし、どうやら宝飾品に無頓着なリンさんは「タツヤさん、すげーな、これ1つで、俺んちいくつ買えるのかな?」と聞いてきた。この時に気付いたのが、シンガポールと日本では、富裕層が持っているモノやサービスの割高・割安の判断能力に、まだまだ差があるのだということだ。
例えば、誰でも知っている日本のミュージシャンに同行した時のこと。Aさん、「サインお願いします」と自ら申し出て、ミュージシャンの苦笑を買っていたけれど、その後しばらくは待ち受けにしていたことからも、日本流に言えばミーハーということになると思うし、日本の富裕層ならまずしないだろうな、と思った。
長い目でみれば、これからはアジアの時代だと言われて久しいが、そのアジアの富裕層は比較的目利き能力が弱いと言える。だからと言って割高なサービスを押し付けるのは言語道断。彼らの目利き能力を結果的に養うような提案をするかぎり、やはりアジア富裕層マーケティングは有望なビジネスだ。
彼らが常に気にしていることがある。「日本の富裕層はどういうものを買い、どういうものに投資しているのか?」という情報だ。これは、いわゆる日本人神話といえる。長期的なメリットを享受できる形を彼らに提供することが出来れば、それはアジアマネーの取り込みという大きなレベルの話にも通じることになると私は思う。しかし、一点、やはりご注意を。日本の富裕層と同じで、やはりアジアの富裕層にも「そうであること」に気が付きにくい人が多い。隣の富裕層といかに出会うか、それは運次第の部分もあるかもしれない。
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