年収10億円、アジアで出会った大富豪の実像 未開土地の開発は「万国共通」の宝の山だ

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日本でも大企業の役員報酬が公開されるようになり、年1億円前後の役員報酬も特に珍しいことではなくなっているとはいえ、ケタ違いだ。「この人が???」というような普通の風貌にショックを覚えることが多いのがリンさんのようなシンガポールの富裕層、特に50代以降の年配の人に見られる特徴だ。

メジャーリーガーでも実際にはほんの一部のプレーヤーしか手にできない年収ということになるから、やはり二極化が日本よりは進んでいる印象を受けることが多い。リンさんの資産形成のケースは、いわゆる「ランドバンキング」と業界では言われる。

未開の土地をタダ同然で購入し、開発しながらその周辺不動産価格が数万倍や数十万倍になっていくようなスタイルだ。思い起こしてみれば、東急電鉄の事実上の創業者である五島慶太氏も阪急電鉄の創業者・小林一三氏も広い意味ではランドバンキングを実践したといえる。東京・丸の内周辺の土地の払い下げを時の政府から有利な条件で受けた三菱グループもこれに当てはまるだろう。国を問わず、不動産から始まる総合開発はやはり爆発的なアセットを生み出す原動力になる。

出会いは偶然から

実は私とリンさんとの出会いは、シンガポール富裕層からの紹介ではない。私がシンガポール航空機内誌の中で見つけた住宅の広告がきっかけだった。私が「当社の日本人顧客に紹介したい」と思い、広告に記載されている番号に直接電話したときに、電話口に出た営業マン風の男性こそがリンさんだった。こんなこと、日本だったらまずありえないだろう。

数日後に私はセントーサコーブを訪問し、リンさんに会った。私が内覧することになっていた1700万ドルの住宅のすぐ近くに、リンさんの自宅はあった。内覧の際も丁寧に案内してくれた。内覧後には、「このあたりクルマで紹介してあげるよ」と申し出てくれ、セントーサコーブ中を案内してくれた。

「あそこの家のオーナーはね、日本の蚊取り線香をインドネシアで販売して大金持ちになった」

「あそこの人はスリランカ人なんだけど、普通に見える家がどうしても嫌で、200万ドルかけてあんなふうなジャングルみたいな家にしちゃった」。リンさんは近所の事情をよく知っていた。その後は、ご近所のお金持ちを私に紹介してくれている。私にとってはシンガポールの富裕層ビジネスはこの人なしでは成りたたない、と言えるような人になった。

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