麻美さんは哲郎さんのサイト上での「日記」も読んだ。すると、彼の飾らない人柄が伝わってくる内容だった。たとえば、外注の職人さんに仕事を依頼した際、伝え方がまずくて怒らせてしまったことへの反省が綴られている。
「私も金融機関の窓口で接客をしているので、『こういうことってあるよな。わかるな』と共感しました」
2人はお見合いをすることになったが、哲郎さんが指定した場はなぜか地域のお祭り。小学校の警備員の仕事をしていたこともあり、知り合いの子どもがたくさん参加するお祭りなのだという。
「『子どもが好きなんでしょ?』と彼は言うんです。確かにプロフィール文にはそう書いたけれど、見知らぬ子どもとデート中に触れ合いたいほどではありません(笑)」
さらに続く「型破りデート」
度肝を抜かれた麻美さん。哲郎さんはさらにたたみかける。会っている最中に、「次も会えますか? ダメならダメでいいです」と麻美さんの意向を直接に聞いてきたのだ。自分自身は「こんな僕を好きでいてくれる人ならば結婚する。自分は選んでもらう立場だから」という姿勢を明らかにした。
「私が自由に選べるんだ!と浮かれてしまいましたね。学歴条件を緩めるキャンペーン中だったこともあり、また会うことにしました」
哲郎さんの型破りデートは最後まで貫かれた。自分はバイクで来ている。よかったら途中まで送っていく。後部座席に乗りなよ。『ホットロード』みたいなシチュエーションである。真面目な麻美さんは動揺したが、結局は後部座席に乗って哲郎さんの背中にしっかりとつかまった。身体的な接触によって初めてわかることもある。
「私は彼のことが生理的に嫌じゃないんだな、と実感しました」
結婚して1年半が経つ。結婚するまでの35年間は実家で暮らし続けていた麻美さんは新たな共同生活への不安を強く抱えていた。一方の哲郎さんは一人暮らしが長く、結婚するまでは男女それぞれ1人の友達を居候に迎えて住んでおり、「お母さん」的な役割を果たしていた。
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